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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
21話 一夏VS鈴 その1
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だ。

 鬼一は、まだ1年だからそんな評価させることはない、と言っていた。だけど今なら分かる。そんなことじゃないんだ問題は。

 散々、散々迷惑をかけたというのにまだ俺は千冬姉に迷惑をかけようとしている。千冬姉の評価を貶めようとしている。形は違えど、モンドクロッソの時と同じように千冬姉を損ねてしまうことが俺を縛り付けている。

 違う。勝てばいいんだ。勝てばそんなこと関係なくなる。俺が勝てば千冬姉に迷惑かけることもないんだ。だけど、相手はあの『鈴』なんだ。

 この前見た、鬼一とのあの試合。見返せば見返すほど2人の凄さが嫌というほど伝わる。

 鈴はたった1年間しかISに乗っていない。だけど凄まじい身体能力の高さと確固たる技術で鬼一を打倒した。

 鬼一は鈴の圧倒的な身体能力と双点牙月を用いた変則的な斬撃、そして見えない弾丸をリアルタイムで対策して一時は鈴を上回り龍砲を破壊し、追い詰めるところまで行った。

 じゃあ、俺は何を持って鈴と戦えばいいんだ? 俺、いや白式の『零落白夜』しかない。この零落白夜だって元は千冬姉のものだ。そしてその千冬姉だって零落白夜以外の自分だけの武器があったからこそ、頂きに立てたんだ。

 そして、俺は零落白夜を使わない。ただのブレードだ。

 俺自身には何もない。そんな俺が鈴を倒すことが出来るのか?

 違う。今ここで弱気になるな。そんなことを考えている場合じゃない。鬼一だって言っていたじゃないか。戦いの場で弱気になれば積極策を出すことも行うことなんて出来ないって。俺は弱いんだから、せめてメンタルで負けてはいけない。

 周りの視線なんか気にするな。今は鈴との試合だけを考えないと。

 集中しろ。

「―――っ」

 心臓の音はこんなにも聞こえるのに、なんで観客席はこんなに静かなんだ? 全然音がしないじゃないか。本当に人がいるのだろうか?

 負けられないのに、負けられないのに、平常心が保てない。心がざわついている。

 こんな時、どうすれば……いいんだ?

 違う。今、俺がやらないといけないことは鈴に集中することだ。負けたときのことなんて考えるな。ネガティブになっていいことなんて何もないんだ。

『それ―――は―――、―――の―――位―――まで―――してください』

 アナウンスの声がほとんど聞こえない。おかしい、心臓の音は先ほどと全く変わっていないのに周りの音はどんどん静かになっていく。なんなんだよこれ?

『―――?』

 鈴、の声か今の? 試合前に何か言うことなんてあるか? 吐きそうだ。

 やけに寒く感じるのに、頭の奥底がジンワリとした熱が広がっていくのがなんとなく分かる。

「―――?」

 うるさいな。さっきまであんなに静
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