第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#21
DARK BLUE MOONXIII 〜D・A・H・L・I・A〜
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を進めた。
決して誉められたヤリ方では、無かったと想う。
他の誰が赦そうと、 『神』 は決して自分の行いを赦さないであろうと。
でも、そんなコトはどうでも良かった。
アノ娘を救う為ならば、この世の暗黒に堕とさない為ならば、
どんな悪行も 『神』 すらも殺すコトさえ厭わなかった。
そして、同じ娼館仲間達の協力を得、
館で非合法に密売されていたモノの中から
幾つかの 『爆弾』 を盗み出し、綿密にソレを配置した。
錆びた銅製のカンテラを手に、 “奴等” が寝静まった後、
倉庫に足を踏み入れた自分。
仲間の協力により濃い酒の中に入れた 『薬』 により、
アノ屑共はこれから何が起こるのかも知らないまま
冬のナマズのように寝入っていた。
次に眼が醒める場所は、間違いなく地獄の入り口。
残酷な冷笑を口元に浮かべながら、多種雑多に積み重ねられた物品の中から
藁の敷布で巧妙に隠された奥の木箱へと続く導火線を取りだした。
この最初の起爆が、始まりの合図。
後は仲間達が割り当てられた順番でそれぞれ同様に爆弾を起爆させ、
巻き起こる騒乱の最中、武器と金を奪いルルゥを連れて逃げ出す。
腐れた人間の欲望の掃き溜めで出来ていたこの忌まわしい娼館を、
ソレを造った塵屑諸共跡形もなく灰にして。
湧き起こる背徳の恍惚感に、下腹部を中心に全身が粟立った。
「ルルゥ……もうすぐよ……」
表層を覆う筒形のガラスを取り外し、中程まで溶けた蝋燭を外気に晒した。
「もうすぐ……終わるわ……」
火の放つ仄かな明かりに照らされながら、口元に笑みが浮かぶのが解った。
「そうしたら……静かな場所で……穏やかに暮らしましょう……ずっと……ずっと……」
失敗の不安も恐怖も消え、不思議と安らかな気持ちだけが心を充たした。
「ねぇ……? ルルゥ……」
暗闇の中でも確かに存在する灯火に、彼女の面影を折り重ねながら、
ソレを導火線の先端へと近づけた。
『ククク……』
そのとき、自分の背後、遙か頭上から嘲笑うような声が聞こえた。
極限の驚駭に全身が凍り付いた瞬間、
奥の木箱から銀色の 『炎らしきモノ』 が羽虫のように次々と飛び散り、
閃光が己の全身を染め上げた。
耳を劈くような大爆裂音。
した筈だった。
だが爆風に吹き飛ばされ木製の欄干を突き破った自分はそのまま一階の床張りに
無造作に叩きつけられ、数分意識を消失していた。
やがて、混濁した意識と眩む視界に映ったモノ。
紅蓮。
一面の紅蓮。
阿鼻叫喚の焦熱地獄。
目の前に存在する全てのものが炎に包まれ、猛烈な焦熱が鼻をつき、
肺を焼くほどの大気が周囲で渦巻いていた。
燃え盛るドアが次々と開きそこか
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