第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#21
DARK BLUE MOONXIII 〜D・A・H・L・I・A〜
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で共にやり遂げたという掛け替えのない充足感。
(やっぱり…… 最強、よね……私達……)
心の中でそっと呟き、シャナはその小さな手を彼へと差し出した。
「おう」
精悍な微笑と共にスタンドの手を伸ばす無頼の貴公子に
「“そっち” じゃなくて」
と紅髪の美少女は頬を朱に染めながらも確固たる口調で言う。
「……」
チト強い力で掴み過ぎたか? と己を訝りながら承太郎が手を掴むと同時に
紅蓮の翼が煌めいて再び上昇を始める。
頬を撫ぜる風と共に靡く学ランの裾。
大の男が少女に手を引かれ飛んでいるという少々みっともない姿だが、
他に見ている人間もいないのでまぁイイだろう。
「良い 『能力』 じゃあねぇか、ソレ」
何とはなしに承太郎がそう言うのに対し、
「欲しがっても、あげられないわよ」
シャナが面映い口調で無愛想に応じる。
「フッ、今度ジジイのヤツでも乗っけてやったらどうだ?
驚きすぎて心臓でも止めなきゃイイけどよ」
「うるさいうるさいうるさい。本当に止まっちゃったらどうするの!」
戦闘後の弛緩した空気の中、取るに足らない会話を混じ合わせながら
シャナは高翔を続ける。
「でも、折角誉めてもらったのに悪いけど、
正直、あんまり良いイメージじゃないのよね。コレ」
「そーなのか?」
折角発動した新たなる 『能力』 に対するシャナの意外な感懐に
承太郎は問い返す。
「そう、だってイヤでも思い出すもの、あンの “バカ犬” ……!」
シャナはそう言って、何故かその口元を苦々しげに軋ませる。
「……犬? そいつも紅世の徒か? 飛ぶのか?」
「砂の羽根を拡げてグライダーみたいに滑空するだけだけどね。
でも出したり消したりは自由だから捕まえずらいったらありゃしない。
って、うるさいうるさいうるさい! 聞くんじゃないッ!」
「オメーが勝手に喋ってたんじゃあねーか」
そう言って瞳を細める承太郎の、未だ知らない 『スタンド使い』
ソイツに食べようとしていたメロンパンを取られ、
封絶の発動したニューヨークの街を追いかけ回したコト等
格好悪くて話せるワケがない。
そこに。
「今度こそ、本当に終わったようだな」
薄い蛍光のような光を円形状に纏ったラミーが端然と宙に浮き、
ステッキの柄に両手を添えて目の前に現れた。
「何だ? アンタも飛べんのか」
拍子抜けしたような口調で呟く承太郎に、
「イヤ、単に浮いているに等しい状態だ。
先刻の君の機転には心から感謝している。
『今のままでは』 編むのに少々時間を要するのでな」
微笑混じりにラミーはそう告げ、落ち着いて話をする為ステッキの先で
外周に設置された螺旋階段を差した。
「……アイツ、これからどうするんだ?
今は兎も角、生きてる限りア
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