第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#21
DARK BLUE MOONXIII 〜D・A・H・L・I・A〜
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一体何が、大丈夫だったのか……
彼女の為? 自分の為?
しかしそれ以外の結末など認められなかった、堪えられなかった。
「……ごめんね……マー姉サマ……ルルゥ……いつも……
迷惑……かけて……ばかり……だね……
痛かった……でしょ……? ここ……まで……
ごめんね……本当に……ごめんね……」
瀕死の状態で在っても自分を気遣う少女に涙が溢れ、想わず声を荒げた。
「何バカな事言ってるの!! アンタは私の “妹” でしょう!!
この世界でたった一人の 『家族』 でしょう!!
見捨てるなんて死んだって出来るわけないじゃない!!」
「かぞ……く……?」
告げられた言葉にルルゥは一度放心したように問い返し、
「……そう……なんだ……エヘヘ……うれ……しいな……」
焼塵に塗れた頬で、いつもように無垢な笑顔を自分に向けてくれた。
満身創痍のズタボロの躰に、力が湧いた。
この娘の笑顔は、いつでも、どんな絶望でも吹き飛ばしてくれた。
だから、護りたかった。
護り……たかった……
『ク……!ククク……ッ!ククククククククククク……!!』
再び、可笑しくて可笑しくて堪らないという、
淀んだ悪意に充ち充ちた笑い声が頭上から響いた。
同時に爆発。
反射的にルルゥを抱え込んだが一体どれほどの意味があったか。
ただ網膜の奥に、銀色の閃光が映ったコトだけは覚えていた。
暗転。
どれ位気絶していたのか、風のさざめきと濃い草の匂いで眼が醒めた。
眼前に見える赤い頽廃。
燃えていく、そして焼け落ちていく。
腐った欲望の館、それでも自分の生涯スベテで在ったものが。
しかしそんな感傷に浸る暇などなかった。
辺りを見渡しアノ娘を探した。
爆風で吹き飛ばされたにしては、余りにも不自然な距離。
それに自分の躰も不思議なほど傷んではいない。
まるで空間を削り飛ばして、ソコに向かって閉じた場所へと
強制的に瞬間移動でもさせられたかのように。
でもそんな疑問は次の瞬間跡形もなく霧散した。
(ルルゥッッ!!)
恐怖と歓喜が同時に、狂しいほどに胸を締め付けた。
自分から約10数メートルほどの距離。
草むらの上で眠るように彼女が横たわっていた。
即座に立ち上がり駆け寄ろうとする、が膝の辺りに凄まじい激痛が走り
前のめりに這い蹲った。
視線を送った己の足が、あり得ない角度に曲がっていた。
地面との激突で折れたにしては不可解な、
まるで別の誰かが 『この部分にだけ』 途轍もない力を込め、
捻り折ったかのように。
しかしそんな当惑など意に介さず彼女の許へ向かった。
足は動かなくても手は動く。
草原を這い擦り回る蛇のように
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