十七話:ガールズトーク
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ただけだ。
仮に注がれるものが憎悪や怒りであれば、代わりに他の者が掬い上げてくれただろう。
しかし、彼女だけに向けられた愛は少しずつ彼女の他者への愛に混ざっていった。
その結果生まれた自分だけの感情にどうしようもなく戸惑っているのだ。
「ジャンヌ……大丈夫よ。幸せになってほしいと思うのは愛です。怖いのもそれだけ相手を想っているからこそ。後は自分の気持ちと素直に向き合うこと。そして、相手の幸せをしっかりと知ることです」
「マルタ様……」
穏やかな声でジャンヌを導く姿は彼女もまた聖人であることを知らしめていた。
「それに少々自分のしたいことをしても罰は当たらないわよ。食べることが罪じゃないのよ。感情がコントロールできなくなって、暴食へ向かうことが罪なのよ。だから、ちょっとぐらい嫉妬したって自分でコントロールできるなら別に良いでしょ」
「そういうものなのですか?」
「そういうものよ。私を信じなさい」
自信満々に微笑むマルタ。
ジャンヌもそんな彼女に信を置きここに入って初めて微笑みをみせる。
「分かりました。相談に乗ってくれてありがとうございました」
「どういたしまして。とにかく、自分で納得のいく答えを見つけなさい」
悩みを解消したことにお互い充実感を漂わす。
しかし、ガールズトークがこのような話だけで終わるはずがない。
「ところで、誰なのよ?」
「へ…?」
「ここまでぶっちゃけたんだから言ってもいいんじゃない?」
「え、えーと……そ、そうですね」
ニッコリと笑みを浮かべるマルタにどうするべきかと考えるジャンヌ。
だが、すぐに話すことに決める。
彼女に恩を感じているのもあるが、それ以上に今は―――
「私に告白してくれたのは―――」
―――ぐだ男のことを話したかったのだから。
ジャンヌとマルタがガールズトークに花を咲かせている頃。
河川敷にて二人の男が向かい合っていた。
『あの、これは…?』
「あなたのジャンヌへの想いは本物でしょう。ですが―――私はまだ認めません!」
白銀の鎧を身に纏い木刀を構えるジル・ド・レェ。
同じように木刀を握りながらも状況が未だに飲み込めずに戸惑うぐだ男。
「あなたの覚悟を試させてもらいます。私に一太刀入れることができたのならジャンヌとの関係を認めましょう。しかし、入れることができなければ―――彼女前から消えてもらいます」
『……一太刀でいいんですか?』
「ええ、一太刀です。そして何度でもかかってきても構いません」
条件だけ見ればぐだ男に有利のように見える。
しかし、目の前の相手を見ればそれがハンデでも何でもないことを理解させられる。
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