十七話:ガールズトーク
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いと決めるのは傲慢ですよ」
「ご、傲慢ですか?」
「私はその方を知りませんが、あなたの顔を見れば素敵な人なのは分かります。だからこそ敢えて言いますよ。―――見返りがない程度で失望する奴なら愛すんじゃねえ!!」
突然のヤンキー口調にビクッと肩を震わせるジャンヌ。
しかし、マルタはお構いなしにガンガンと喋っていく。
「愛とは与えるものです! それは相手が返してくれることを期待するものではない。お互いが与えることで初めて恋愛が生まれるけど、それは強制するものじゃないのよ!」
「は、はい」
力強い言葉にジャンヌは反論することもできずにコクコクと頷き続けるジャンヌ。
「相手に自由を与えて“赦す”。見返りを求めずにあなたに注ぐもの。彼はそれを理解してあなたを愛している。だというのに、あなたは自分の心ではなく彼を思いやるだけ。それは彼の愛に対する侮辱です!」
その言葉にジャンヌはぐだ男の言葉を思い出す。自分が一番幸せになれる答えを出すこと。
そういう条件だったはずだ。だというのに自分は相手のことばかり気遣っていた。
確かに、彼女の悩みはマルタの言うとおりに彼の覚悟と愛に対する侮辱であった。
「彼はあなたに自由を与えているのにあなたは自ら鎖でもって心を縛っている。彼が望んでいるのはあなたが本心から望むことを為すこと! だから、まず、あなたは自分がどうしたいかだけを考えなさい!!」
言い切って乾いた喉を潤すために紅茶を口にするマルタ。
ジャンヌは彼に言われた約束を守れていなかったことに恥じ入り俯く。
そんな様子にマルタは若干の罪悪感を抱いたのか、バツが悪そうに頬を掻く。
「まあ、そんなに悩むことはないわよ。なんだかんだ言って彼はそんなあなたのことが好きになったんだから」
「……望むままに動くことは罪ではないのですか?」
ポツリとジャンヌが言葉を零す。
そこからはダムが決壊したように言葉が流れ落ち始めるのだった。
「私は嫉妬してしまったんです! 彼の傍に他の女の子がいることに! でも、その感情に自由はない。だから、愛ではない! 怖いんです……私は彼を愛せないんじゃないのかって。……与えられるだけで何一つ返せないのは嫌だ。私は彼に幸せになって欲しい。だけど、私のせいで幸せになれないんだったら……私は彼の傍に居たくない…ッ」
抑圧されていた感情がゴチャゴチャとした言葉となり噴出する。
常に正しくあろうとした聖女の姿はそこにはなかった。
正しくあろうとすればするほど相手を傷つけるのではと恐れる少女。
彼女は普通の人間が持つような悪感情が持てないのではない。
既に他者への愛で満杯になっていたコップに注がれる様々な感情が水と油のように混ざらずに地面に流れてい
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