第一章 ハジマリ
第6話 不気味な男
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は怯まず声を上げ続ける。
「何も分からなくても、アステリは訳も無くそんな事をする奴じゃないって事だけは分かるんだ!」
「何それ」
明らかに面倒くさそうな態度でそう吐き捨てると、「はぁ」と深いため息を吐いて目を閉じる。
と思うとカッと目を見開き、周囲に浮いていたナイフを天馬目がけて投げ飛ばして来た。
「ッ……!?」
「! 天馬っ!!」
ナイフは天馬のすぐ脇を通り、後ろの壁に突き刺さる。
幸いにも外れ……いや、正確には"わざと外された"の方が正しいのだろう。
「君、気に入らないね。僕に歯向かうなんて何様のつもり……?」
そう言うカオスの機嫌は、さっきより明らかに悪かった。
カオスは周囲に禍々しい赤黒いオーラを発しながら天馬とアステリを睨み続ける。
オーラは怒りの感情を纏いながら、その大きさを拡大していく。
それは天馬やアステリの元まで届き、二人の心をザワザワと揺さぶる。
「今のは威嚇だけのつもりだったけど……。君等には少しお仕置きが必要みたいだ」
「!? ぐっ!?」
瞬間、天馬の首に人に掴まれた様な感覚が襲う。
と同時に身体は地面から離れ、河川敷の橋の壁に勢いよく叩きつけられた。
「がはっ……っ!!」
「ッ……ぅぐ……っ!」
背中に激痛が走り、一瞬の間、息が止まる。
身体は急いで呼吸をしようと口を開ける、が。
(息が……出来ない……ッ!?)
見えない何かで首を絞められているせいか上手く呼吸が出来ず、むせ返る。
橋に叩きつけられた身体は自由を失い、壁に貼り付いた状態のまま動かない。
唯一自由の利く目を動かし隣のアステリを見る。
「ッ……て……まっ……!」
(! アステリ……!)
アステリも天馬と同じ様に身体が動かないのか、苦痛の表情を顔に浮かべ、こちらを見ている。
呼吸困難から起こる苦痛に身を悶えさせていると、前方からはカオスの笑い声が聞こえて来た。
その声はとても楽しそうで、苦しむ天馬達にとっては不快そのモノだった。
「あれ〜? さっきまでの威勢はどうしたんだい? 裏切り者とその友達くん」
カオスは二人に近付くと、そう嫌らし気な態度で尋ねる。
「ッ……カオ……ス……ッ」
そう絞り出した声で呟くと同時にカオスを睨み付ける。
それが天馬の今出来る精一杯の抵抗だった。
天馬の目つきに気付いたのかカオスはさっきまでの笑みを消し、言う。
「あれ。まだ歯向かうんだ。生意気だね。でも、身体の方はもう限界じゃない?」
「ッ……」
「カ……ォス……ッ!!」
酸欠で天馬の頭は朦朧とする。
そんな状態の頭の中には、アステリの苦しそうな声とカオスの笑い声が反響する。
視界がボ
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