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つま先立ちの恋に慣れたら
つま先立ちの、
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ん、見たことない)

 かっこいい。こんな人が自分の彼氏なんて。奈々は今までよりもっと誇らしい気持ちになった。それと同時にストライドも日舞も芸能活動もこなす怜治はやっぱりすごいと尊敬する。自分も隣にいて恥ずかしくない人でいたい。自分磨きをしなきゃ・・・!
 撮影の間しばらく見ていたが、結局気づかれることはなく、カメラマンたちが後片付けをしだしたので、満足な気分のまま私も帰ろうと、奈々もピリカに引き返そうとした。
 しかし秋ということもあって日が短く、あたりはすっかり暗くなっていた。あまり夜の道は得意ではない。これは急がなきゃ・・・・!と早歩きで歩いていた途中、後ろから男性の声がした。

 「ね、きみ!ちょっとちょっと!今から俺たちと遊ばない?」

 振り返ると背の高い、ノリが軽そうな派手な男の人たちがいた。せっかくだが遊ぶには時間が遅く、怜治がいるのにそれはどうかと思い、やんわり断ろうとした。

 「ごめんなさい、実家に戻らなきゃいけないので・・・」
 「えーいいじゃん、そんなこと言わないでさ!」

 何度言っても相手は折れてくれず、どうしようかと頭をひねっていると、男性たちは焦れたのか奈々の腕をつかんで引っ張ろうとしてきた。

 「大丈夫だから!なんにも怖くないから!」
 「ちょっと、困ります!離してください・・・!!」

 力の差がありすぎて、抵抗しても男の側に引っ張られる。掴んでいる手に力がこめられ、腕にきりきりと鈍い痛みが走る。これはさすがにやばい、と身の危険を感じたときだった。


 「・・・奈々?」

 透きとおった聞き覚えのある声。奈々は涙が出そうになった。

 「れいじ、さん」
 「え?なに、もしかして彼氏いたの?」
 「ええ、その子の彼氏です。奈々、どうして手をつないでるの?」

 怜治は男たちに会釈をし、奈々に問いかける。彼らは諏訪怜治だとまだ気づいていないようだ。無理もないと彼女は思った。なんせ帽子を目深にかぶり、大きなサングラスをしていたのだから。

 「帰ろうと思ったら遊ぼうって誘われて、断ってもなかなか離してくれなくて・・・」
 「それは困ったな。失礼ですけど、嫌がっている女の子を無理やり連れていくんですか?」
 「・・・・っ、別にちょっと誘っただけだよ!あーくそ、気分悪りぃ」
 「じゃあ、いいかげん離してもらいましょうか。・・・俺の彼女だし」

 軽くサングラスを傾けて目だけ男たちの方に見せると、彼らは一気に青ざめて叫んだ。

 「「諏訪怜治かよ!?」」
 「すみません、大声は控えてもらっても・・・見つかったら騒ぎになるんで、ね?」

 にこにこと満面の笑みで彼らに語り掛ける口調は柔らかかったが、奈々は恐怖を覚えた。−−−−完全に怒っている。怜治が
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