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つま先立ちの恋に慣れたら
手料理
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張する・・・!奈々は怜治の部屋に入るのは初めてだ。モノトーンで配色された室内にセンスを感じる。360°見渡していたのがおもしろかったのか、怜治はくすくす笑っている。
 
 「男の部屋ってこんなもんじゃない?もしかして俺が初めて?」
 「はい!なんだかモデルルームみたいでびっくりしちゃいました!!」 
 「そんなこと言ってくれるなんて嬉しいな、ありがとう。ところで今日は何を作ってくれるの?」
 「出来上がるまで待っててください!」
 「わあ、すごく楽しみだよ、俺にできることがあったら言ってね」
 「大丈夫です!ありがとうございます」

 はりきる奈々がいつも以上に可愛くてずっと見ていたくなる。後ろから見ていると緊張するからと照れた彼女にキッチンから追い出されてしまった。しょうがない、しばらくリビングで待っていよう。

「お待たせしました!」

 奈々がテーブルに運んできたのは和食だった。魚の照り焼き、お味噌汁、厚焼き卵、ごはん・・・。どれもつやがあり、とてもおいしそうだ。

 「冷めないうちに食べちゃってください!」
 「うん・・・!おいしそうだね、いただきます」

 料理はどれも美味しかった。味付けはほどよく、野菜の切り方も均一で整っている。見た目もきれいでこげついていない。

 「こんなにおいしいなんて、奈々はいい奥さんになるね」
 「・・・そこまで言われると、照れちゃいます。でも、とっても嬉しいです!」
 「本当のことだよ。最近忙しくて、ロケ弁や出来合いのものばかりだったからさ。こういうちゃんとした食事をするのは久しぶりなんだ」
 「それなら何よりです・・・!!」

 すっかり怜治のペースに乗せられっぱなしの奈々は、照れと嬉しさとでうまく話せないでいた。うつむきながらも笑顔が隠せない彼女を見た怜治は、反応が初々しくて心が洗われたような気分になる。しばらく食べていると、ふと彼女の指先が目に入った。

 「それ、どうしたの?」

 怜治は箸を止めて奈々の手を取りよく見ると、人差し指の側面に軽く切った跡がある。もう治っているものの、少し痛々しくて思わず顔をしかめた。

 「こ、これは・・・その、ですね、手が滑っちゃって包丁でつい・・・」
 「・・・・・・・」
 「でも、全然大したことないです!ほら、傷もふさがってるしーーーーー」

 −−−−−ちゅう。

 言い終わる前に怜治は奈々の指先に唇を寄せる。

 「怜治さんっ・・・・」

 彼女の顔が真っ赤になり、体が緊張でこわばるのが分かる。怜治は分かっててしばらくやめなかった。

 「料理、練習してくれたの?」
 「・・・はい」

 奈々の声はか細く消えそうだった。気づかれたくなかったのだろうか。

 「おいしいもの食
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