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立ち上がる猛牛
第二話 エースとの衝突その二
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 そしてだ。それと逆にだ。
「シュートやと右は外角、左は内角になるな」
「それを身に着けろっていうんですか」
「どや。これは武器になるで」
 左右の揺さ振りはピッチャーとして大きな武器になる。実際にこれにより名投手になった者も多い。鉄腕と謳われた稲尾和久は高速スライダーにシュートが武器だった。この二つの球種を使い勝っていったのだ。
 その彼の名前は西本は今は出さなかった。しかしだ。
 西本は鈴木にだ。あえて言った。
「どや、覚えてみるか」
「ええですわ」
 鈴木は嫌な顔をして西本にすぐに言葉を返した。
「それは」
「ええっちゅうんか」
「わしには変化球はカーブとフォークがありますし」
 変化球には変化球と言わんばかりにだ、鈴木は西本にこの二つの球種を出した。
「それに何よりもストレートがあります」
「速球か」
「やっぱりこれですわ」
 このボールだというのだ。
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