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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第540話】
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「……え?」
「……何をきょとんとしている。 ……というか、そもそも私にお前の命をどうこうする権利などないさ。 仮にそんなことをすれば、私を対象に国際問題に発展するだろうし、何よりも有坂に恨まれる」
鞘に刀を納める千冬――未だに事態を飲み込めない女は目をぱちくりさせていた。
「それにだ。 ……有坂に頼まれていてな、お前に対して酌量の余地はあると――無論私も、連れ去られようとしていた生徒を助けた功績を考慮した結果だがな」
「し、しかし――」
「しかしも案山子もない。 ……自らの命で罪の清算など、逃げの一手でしかない。 そう感じるなら、今ある生を大事にして、これから償えばいい。 そうだろう?」
「……!?」
何故か自然と涙が溢れてくる女――気付くと両手で顔を覆うようにして泣き崩れていた。
それから暫く――落ち着いた女は千冬に問う。
「……罪の償い、どうすれば良いのでしょう……。 私が生きていると国が知れば、少なくとも強制送還されるのは明白……」
「フッ……それなら大丈夫だ。 この学園にある【特記事項第二十一】――本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家、組織、団体に帰属しない。 本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする――だ」
そう告げる千冬だったが、女は困ったような表情を浮かべた。
「……その特記事項、ここの学園の生徒じゃないと意味が――」
「フッ……」
千冬は側にあるクリアファイルから既に作られていた学生証や転入手続きの書類などを出して広げて見せる。
学生証や書類の名前の欄にはまだ記入がなかった。
「ここで三年、学生として過ごし、そして自由国籍権を取得すればいい。 そうすれば、お前を追うものは居なくなる」
「……用意が良すぎませんか、今日襲撃したのに」
「フッ……ともかく、そこに名前さえ書けば明後日にも君は我が校の生徒だ。 ……君の処遇は以上だ。 ……有坂に感謝するのだな、君の運命を変えた有坂ヒルトに」
そう告げ、その場を立ち去る千冬に、女は――。
「……ありがとうございます、ブリュンヒルデ。 ……ありがとう、有坂ヒルト……私に、新たな人生を歩ませる機会を作ってくれて」
そう呟き、失われた自身の名前を記入していく――『エレン・エメラルド』――と。
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