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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第540話】
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夜、IS学園地下特別区画。
無数のケーブルが一つの石化したISに繋がっていた。
後ろ手に施錠をされ、それを眺めるエメラルドグリーンの長髪の女、時折明かりに照らされ、ぷっくりとした艶のある唇が小さく輝きを放つ。
学園襲撃――それはどの国も行ってはいない禁忌、だがアメリカはそれを破り、名も無き兵隊――通称アンネイムド、構成員は何かしらの軍規違反を犯した犯罪者集団。
部隊章もなく、名前すら取り上げられ、国の為に汚い事を行ってきた報いが――そう覚悟をしていた。
「……何か言い逃れはあるか、アンネイムドの副隊長」
「……いえ。 ……強いて言えば、私の亡骸は――ウィスコンシン州にある私の故郷へと送っていただきたいと思います」
「ほう……」
女の目の前に居たのはかつての世界一であるブリュンヒルデ――織斑千冬その人だった。
腕組みし、放たれる異様なプレッシャーがひしひしと伝わってくる。
「つまり……お前は私に極刑の判決を得たいのか」
「……この度の襲撃、それだけの刑に処せられるのが一番重い方だと……。 ……それに、作戦の失敗は私達の命も無いものだと――」
「そうやって死に逃げ、償うべき罪を清算する――か?」
「……はい」
瞼を閉じ、そう返事をする女にため息を吐く千冬。
「……良いだろう。 ならば望み通り――私自ら介錯しよう」
すらりと鞘から抜く刀は、光に照らされて鈍く光を放つ。
――これで、もう誰も傷付けなくてすむ――そう考え、覚悟を決めるのだが――不意に有坂ヒルトの顔が過った。
「……済まないブリュンヒルデ。 ……まだ一つだけ、お願いがあります」
「……良いだろう、言ってみろ」
「……有坂ヒルトに、ありがとうとお伝えいただきたい。 ……彼が居なければ、私は最後まで罪ばかり犯すだけだった。 人として――衛生兵として、最後に彼女を人として救えたのは本望だった――と」
そう告げると、また瞼を閉じる女――大丈夫、痛いのは一瞬だ、その後は――今は亡き父と母に会える。
そう思えば――多少の恐怖からは開放される思いだった。
「わかった。 ……では去らばだ、アンネイムド副隊長……!」
ヒュンッ――空気を切り裂く刃の音と共に父と母の顔が脳裏に過り、最後に有坂ヒルトの顔が過った――。
ガシャンッ!
金属製の何かが断ち切られると共に後ろ手の拘束が解かれた。
痛みは感じず、何が起こったのかも把握できないまま、目の前のブリュンヒルデは呟いた。
「今、アンネイムド副隊長は死んだ――。 そして今私の目の前に居るのは名無しの死体――ジェーン・ドゥという訳だな」
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