第一話 キャンプその二
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「皆羽田のスイングを見るんや。それでこう振るんや」
西本は羽田のスイングを見せてだ。彼等に教えるのだった。
だがこのことに反発する者は多かった。とりわけベテランの選手達だ。それでも西本の指導は変わらない。彼は近鉄においても頑固であった。
その西本にだ。まずは若手の野手から彼を慕う声が出て来た。ここでも彼等からだった。
まずはその羽田だった。彼は西本に自分のスイングを褒められだ。照れ臭そうにこう同僚達に話すのだった。
「わし、あんな風に褒められたことなかったわ」
「御前引っ込み思案やからなあ」
「図体はでかいのに気は小さいからなあ」
「そやからな」
そのプロ野球選手にはいささか不向きではないかと思えるまでにだ。羽田は心根が優しく気の小さい男であった。その為素晴しい資質があろうともだ。中々注目されなかったのだ。
だが西本は即座に彼のスイングを見て資質を見抜きだ。そうさせたのだ。彼はこのことにだ。このうえなく喜んでだ。ナイン達に話したのである。
「わし、今の監督についていきたいわ」
「そやな。わしもな」
「わしもや」
続いてだ。栗橋茂に佐々木恭介といった若手も言い出した。
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