第二十二話 心と身体その八
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「だからね」
「恋愛を出来ますか」
「その顔と性格なら」
女の子になってもというのだ。
「絶対にね」
「そして恋愛をするのなら」
「いい恋愛でなければ駄目よ」
「いい人を好きになって」
「酷いことをしないことよ」
「自分がダメンズみたいな人にならないことですね」
「女の子になってもね」
ダメンズとは男のことだからだ、女にはあてはまらない。しかし性別が違っても劣悪な輩はいるからである。
「同じだからね」
「そうですよね」
「このことは性別に関係ないことだけれど」
「男の子でも女の子でも」
「そう、蓮見君が男の子でも」
それでもというのだ。
「同じだったのよ」
「そうですか」
「そう、けれどお願いするわね」
「人としての道を踏み外さないで」
「そうした人も好きにならないことよ」
「わかりました」
優花の返事は淀みのないものだった。
「僕姉さんと友達がいますが」
「神戸になのね」
「はい、とてもいい姉さんと友達です」
優子と龍馬を思いだしつつだ、看護士に話した。
「そうした人達みたいなですね」
「そう、いい人達とね」
「いい恋愛をするべきですね」
「そうなるのよ」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「友達と恋愛をすることは」
それはとだ、優花は物心つく前からずっと一緒だった幼馴染みであり親友である龍馬とそうした関係になることについてはだ。
自分が女になってもとだ、考えて言った。
「とても」
「考えられないわね」
「友達は友達で」
「恋人にはね」
「ならないですね」
「なる場合もあるわよ、けれどね」
「また違うものですよね」
優花も言う。
「やっぱり」
「ええ、そうよ」
「異性であっても友達はいますし」
「異性が誰でも恋人でもないでしょ」
「はい、女の子も」
今の自分に戻して考えてみるとだった。
「友達何人もいますし」
「そういうことよ、異性でも友達はいるし」
「恋人にもなって」
「同性でもね」
「その人によるんですね」
「そうよ、だから蓮見君のそのお友達もね」
看護士は龍馬のことを知らない、何処の誰かも名前も何も。だが優花の言っていることから察して考えて彼に答えているのだ。
「お友達であって」
「恋人にはですね」
「お互いにどう思うかで違ってくるけれど」
「また違うものですね」
「そうよ」
こう答えるのだった。
「またね」
「そうですよね」
「お友達もいて」
「そして恋人もいる」
「そうしたことになるのよ」
「わかりました」
優花は看護士と話をしながら部屋の掃除を共にした、掃除をして食事や入浴、読書をして散歩もする。療養中の生活は充実していた。
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