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真田十勇士
巻ノ五十五 沼田攻めその十二
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 真田家の者達も出陣した、彼等の主力は上杉、前田といった北陸勢に合流する為に合流場所に向かった。
 幸村は父の言った通り沼田に向かった、彼の兵達と十勇士を連れて。
 その中でだ、彼は己と共にいる十勇士達に言った。
「さて、沼田に着いたならな」
「その時はですな」
「一気に攻めまするか」
「敵の不意を衝き」
「そうしますな」
「うむ、そうする」
 こう十勇士達に答えた。
「そしてそのうえでな」
「沼田城を囲んでいる敵勢を一掃し」
「源三郎様をお助けする」
「そうされますな」
「そうじゃ、しかし兄上ならな」
 兄である信之の軍略を見計らってだ、幸村は話した。
「相当な数の軍勢でもな」
「大丈夫ですな、若殿なら」
「あの方ならば」
「無事に敵を退けられますな」
「相当な軍勢でも」
「例え数万の軍勢で囲もうともな」
 それでもというのだ。
「兄上なら大丈夫じゃ、しかし」
「あえてですな」
「ここは、ですな」
「一気に攻めて」
「若殿をお救いする」
「そうされますな」
「囲まれているままは辛い」
 城と守る兵達はというのだ。
「だからじゃ、早いうちにじゃ」
「救援に出てですか」
「若殿をお助けし」
「そして北陸勢力との合流を果たし」
「そうして」
「関東に入る」
 そうするとだ、幸村は十勇士達に話した。
「兄上と共にな」
「その若殿ですが」
「若殿なら如何なる大軍が来てもですな」
「沼田の城を守れるとのことですが」
「うむ、父上が言われていた通りにな」
 実際にとだ、幸村は答えた。
「兄上なら大丈夫じゃ、しかしな」
「それでも援軍は必要ですな」
「北条家の軍勢を早いうちに退けるには」
「それ故に我等も」
「そうじゃ、沼田に向かうのじゃ、では行くぞ」
 幸村は十勇士達に告げてだ、そしてだった。
 彼等と兵士達を連れて一路沼田に向かった、その進軍はかなり速く普通の軍勢の行軍よりも速いものだった。
 その行軍を見てだ、十勇士達は幸村に言った。
「この軍勢ですが」
「我等は真田家の軍勢しか知りませぬが」
「それでもですな」
「かなり速いですな」
「うむ、そう思う」
 今彼等は夜の休息の時に入っている、日の出と共にまた進軍するのだ。だが今は晩飯の干し飯を食っている。
 その中でだ、幸村は共に車座になって座って一緒に飯を食っている十勇士達に話したのだ。
「拙者もな」
「やはりそうですか」
「我等の進軍は速いですか」
「真田の軍勢は」
「うむ、少なくとも上田から沼田までの道は整えてある」
 軍勢が通るべきそれをというのだ。
「だからな」
「余計にですか」
「軍勢が進むのは速いですか」
「そうなのですな」
「そうじゃ、父上と兄上が道を整えてくれた」
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