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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十三話 長旅は退屈なのです。
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る。カロリーネ皇女殿下は泣いていた。声を上げずに、押し殺そうとして懸命に胸を上下しながら、彼女は大泣きに泣いていた。それをつらそうに見ながらアルフレートはハンカチを差し出した。
「・・・・あなたをぶってしまったこと、申し訳ありません。前世では年上の女性を、しかも現世では身分違いの女性の顔に手をかけたのは、死罪に相当します。気のすむまで私を殴ってください。ですが、これだけは言わせてもらいます。復讐などというバカなことを考えてばかりいると、自分ばかりではなく、周りの人々も滅ぼしてしまいますよ。あなたは一人ではありません。ファーレンハイト、シュタインメッツ、そして周りの侍女たち。皆あなたを慕ってきています。・・・・私もそうです。」
最後は小声だった。だが、カロリーネ皇女殿下の耳にはしっかり届いていた。
「そんな人たちを巻き添えにできますか?」
グスッ、という鼻をすする音がして、
「・・・・できない。」
小声で返事が返ってきた。
「あなたはとても綺麗で優しい方です。そして純粋な方でもあります。そんな方が復讐というどす黒い炎に染まって果ててしまうところを私は見たくありません。」
カロリーネ皇女殿下は泣き笑いのような顔をした。
「バカ。」
小声で言ったのは、恥ずかしさだけだったのか。それとも――。
「あなたは私よりずっとずっと立派なのね。私なんかまだ子供なのだわ。『お姉さん』なんて言える資格、なかったんだね・・・・。」
「そんなことはないです。あなたが経験したことは、私よりもずっとひどかった。そうしたくなるお気持ちはわかります。ですが――。」
「もういいわ。わかった。」
カロリーネ皇女殿下はアルフレートを制した。
「でも、一つだけ言わせて。あなたはバカ!!!超大馬鹿よ!!!!女性に対しての扱いがまるでなっていないわ!!」
カロリーネ皇女殿下の剣幕に今度はアルフレートがたじたじとなった。
「す、すみません!!」
「殴っておいてそれで終わりなわけ!?」
カロリーネ皇女殿下の言わんとするところが理解できたアルフレートはしどろもどろに、
「あ、いえ、その、失礼かな、と――。」
カロリーネ皇女殿下が大きなため息をついたので、アルフレートはぐっと詰まってしまった。
「もういいわ。そんな気分じゃなくなったもの。せいぜい次の機会を頑張って探しなさいな。アルフレート・ミハイル・フォン・バウムガルデン公爵様。」
「・・・・・・・。」
「ま、でも、お礼は言っておくわね。ありがとう。あなたの言葉がなかったら(あと、ビンタか。)私は復讐への道を突っ走っていたところだったわ。」
カロリーネ皇女殿下はアルフレートの肩をぽんと叩いて、部屋から出て行ってしまった。
一人残されたアルフレートの思いは複雑だった。これでよかったとほっとした部分と、残
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