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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十三話 長旅は退屈なのです。
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にきたのが原因だ。」
「なまじ『力』があると人間はそれに頼りたくなる。その力がそがれた時、人は初めて自分が置かれている現実に戻ることができる、というわけですね。」
キルヒアイスの言葉にラインハルトはうなずきを返して、
「そして、二つ目、これが恒久的な和平構築に関して一つ目よりもはるかに重要なことであるが、先ほど言った価値観、人種、信条、門地などの決定的な違いをどこまで理解しあえるか、ということだ。自分たちの主張を声を張り上げて言うだけではらちが明かない。相手の領域(エリア)にどこまで踏み込んでいけるかが、カギとなろう。」
私が思うところはそのようなものだ。もっとも、そんなことを言えば、ブラウンシュヴァイクやリッテンハイムに何を言われるか分かった物ではないな、とラインハルトは最後に苦笑した。
「とにかくだ、今の私にはブラウンシュヴァイクやリッテンハイムを説得できる力量もなければ、その意志もあまりない。が、フロイレインの言うように目いっぱいの努力はしてみよう。それでいいか?」
フィオーナはにっこりした。
「はい、それでこそミューゼル大将閣下です。私の教官(イルーナ)がいらっしゃったらそうおっしゃったに違いありません。」
これを聞いていたティアナは脇にいたミュラーと、そしてロイエンタールとミッターマイヤーと顔を見合わせて、かすかに苦笑して見せた。「仕方がないわね。」と言うように。その傍らでラインハルトとキルヒアイスはうなずき合っていた。


他方――。


ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯は、パーティーそっちのけで、交渉に向けて準備を進めていた。もちろん主要閣僚たちを交えた「本会議」はこれからあるのだが、その前に使節団長、副団長の意見を統一しようという事になったのだ。いわゆる「プレ会議」というやつである。
日頃のパーティーばかりしているイメージとは裏腹に、彼らもやるときはそれなりにやるのである。もっともやることなすことには「貴族意識」が主観として入り込んでいることは否定できないが。
「つまりは、今回の和平交渉においては、敢えて帝国の威信を全面的に押し出して対応せよ、そう卿は言うのだな?」
ブラウンシュヴァイク公はリッテンハイム侯に言う。
「そうだ。思いあがった平民共(しかも奴隷の子孫ではないか!)に、なぜこちらが迎合せねばならんのだ!?考えるだけで怖気がするわ!・・・・とまぁ、それは儂の主観であるが、考えてみろ、ブラウンシュヴァイク公。奴ら儂らが笑顔で交渉の場に立ったとして、すぐに握手で答えてくれると思うか?」
「無理だろうな。奴らは奴らで『帝国打倒せよ!貴族の台頭を許すな!平民の権利を守れ!』などと儂らからすれば怖気を振るうことを声高に叫んでおるからな。そう言ったところに儂らはこれから踏み込んでいくわけだ。笑顔一つで
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