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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第4話 夢
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だ。
 別に秋の料理が創作料理だったとか、珍しい物だった訳では無く。
 肉じゃがや鶏の唐揚げ……挙句の果てには白いご飯やお味噌汁を見ても同じ様に驚いていた。
 天馬の想像する様にアステリが外国から来た人間であれば、そう言った日本の料理に驚くのもなんとなく分かるが……

(外国の人だったとしてもどうしてあんな場所で倒れていたんだろう……)

 そんな事を考えながらも、昼間の練習の疲れからか天馬はすぐに考えるのを止め、やがて夢の中へと落ちていった。




「…………え……」

 目が覚めると、天馬は見知らぬ場所に立っていた。
 そこは色の無い、壊れたモノクロ色の建物が建ち並んでいる、変な場所。
 まるでアニメや漫画に出てくる様な……廃都市と言えばいいのだろうか……。
 そんな異様で異質な雰囲気を醸し出す街に、天馬は一人、立っていたのだ。
 不気味に思いながら街の中を歩いていると、あるモノが天馬の目に留まった。

「なんだ……あれ……」

 目に留まったのは黒い影の様な……人型の塊。
 目や口は無く、小さい物や大きな物、細い物から太い物まで様々な形のソレがウヨウヨと動き回っている。
 不思議に思ってしばらくその光景を眺めていると、塊は一箇所に固まり、あろう事かバリバリムシャムシャと生々しい音をたてながら互いを食い始めたのだ。

「っ……!」

 辺りには黒い液体がとび、腕であったであろうモノがピクピクとうごめいている。
 恐怖のあまり、すぐさまソレから目を離す。

――気持ち悪い……っ

 未だ聞こえる生々しい音から逃げるように、天馬は咄嗟に後ろを向く。
 と。

「ぇ……っ……」

 瞬間、天馬の身体がビクッと跳ねる。
 さっきまでは誰もいなかったハズのそこには、黒い衣服を纏った男が立っていたのだ。
 男は周りのモノクロ色の中で唯一違う、暗い黄色の髪をなびかせながら、こちらをジッと見ている。
 誰だろうと視線を上の方に移す……が、なぜかモヤの様なモノがかかっていて見る事が出来ない。
 天馬がその場で動けずにいると男は突然、無機質な感情のこもっていない声で

「助けて」

 そう囁いた。

 その言葉を最後に、天馬の目の前は真っ暗になった
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