Side Story
少女怪盗と仮面の神父 28
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うやら、いつの間にかベッドに寝かされていたらしい。
……ちゃんとした寝床に入るのは、何ヵ月ぶりだっけ?
ぼやけた視界を木造の天井から左下へと動かせば、二つの薄黒い人影が、自分に対して背を向けている椅子に座ってた。
(……だれ?)
顔だけで向かい合う影達は、私が起きたと気付いているのかいないのか。
特別潜める気もなさそうな声量で、何かを話し続けてる。
『……は、お前自身が嫌悪してやまない の正式な になるってことだぞ?』
『承知しています』
一人は、ぞんざいな言葉遣いの男性。
もう一人は……あの人だ。
泥やら何やらで汚くなってた私を抱きしめてくれた、温かい女の人。
悲しい瞳の、優しくて綺麗な女性。
『良いだろう。お前は、 が を務めてやる。コイツはお前が、好きに見届けてやれ』
『あ……ありがとうございます、 !』
女性が、安心と喜びの色を顕わに声を弾ませる。
彼女にとって嬉しい話……なんだろうか。
『ただし。コイツには、他の 同様、 を掛けておく。もしもコイツがアルスエルナ王国にとって害悪となるなら、その時は』
『させません。私が。決して』
所々聞き取れない男性の言葉をピシャリと遮る、女性の険しい声。
男性は楽しげに喉を低く鳴らして立ち上がり。
私の枕元で、腰を屈めた。
『だそうだ。せっかくだしお前もこういう面白い女に育てよ? 間違ってもクソつまらない木偶の坊なんぞにはなるな。 が退屈する』
(わたしがおきてるの……きづいてたんだ……)
この人は誰だろう?
燭台の明かりを背負って私の顔を覗き込んだ男性の顔は、やっぱり薄黒い影に塗り潰されていて。
腕を振り上げればぶつかる距離に居るのに、髪の色すら判別できない。
『あ、……っふ……けほ! はぅっ、かふッ』
あなたは、だれ?
尋きたくて出した声は、自分でも驚く掠れ具合だった。
ヒュッと抜けた呼気が喉を痛め、焼けただれたようなヒリヒリした感覚に堪らず咳き込んでしまう。
苦しい。
『無理に喋るな』
不意に、大きな手が私の頬を撫でて……
あれ? すっごく甘い匂いがする。
果物みたいな、瑞々しい匂い。
(なんだろ……おちつく……)
『良い匂いだろう? これはお前を縛る枷であり、お前を護る盾でもある。さあ目を閉じろ。恭順か、独立か、断罪か。今日この時より、お前の未来はハウィスの手に預けられた。ハウィスの未来も、お前の心得次第だ』
『……わたし……しだ、い?』
『そうだ。お前の行く道に幸多くあれ。我が の娘、ミートリッテ』
重たい目蓋が、自分の意思に
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