第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#19
DARK BLUE MOON? 〜Gravity Angel Drive〜
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口にする。
その熾烈なる戦闘の火蓋が今まさに切って落とされんという最中、
承太郎の手の平から荘厳な声があがった。
「どうした? 早く首にかけぬか」
「……」
手に携えた優美な造りのペンダントに無頼の貴公子は視線を送る。
「よく “視えぬ” のだ。このままでは」
告げられたアラストールの言葉にそうなのかと了得した承太郎は、
その後少しだけ邪 な笑みを浮かべ、
「なら視え易いように “こう” しててやろーか? お父さん?」
コキュートスの細い銀鎖を指に絡ませ、振り子のようにブラ下げる。
「ふ、巫山戯るな! 貴様ッ!」
珍しく感情の意を明確にした炎の魔神が、眼前のやや下で声を荒げた。
その様子を微笑混じりにみつめていた脇の老紳士が、
一転表情を引き締めて問う。
「ふむ、それにしても良かったのか? 空条 承太郎」
「ン?」
ペンダントを首かけ、莨 はよさぬかというアラストールの声を無視しながら
紫煙を薫らせる美貌の青年。
「彼女は、一度アノ者と戦って敗れているのだろう?
力量の差か相性かまでは窺い知らぬが、
既に手の内が露見している以上不利には違いない。
助けられておいて言うのも何だが、
ここは君が行くべきではなかったか?」
そのラミーの当然の物言いに対し、承太郎は銜え煙草のまま大袈裟に両手を開く。
「ハァ? オレが? 何故? ヤらねぇよ」
「むう、しかしだな」
疑念を口にするラミーを承太郎が遮る。
「言っただろ?アイツが “行ってくる” ってよ。
つまり、オレの助けは必要ねぇ、っていうか端から選択肢に入ってねーんだよ」
そう言って無頼の貴公子は横を向いて紫煙を吹き出す。
「まぁここは、一つアイツのお手並み拝見といかせてもらおうじゃあねーか。
アンタの生命が賭かってるんだ。勝算もねーのに戦うなんてバカな真似、
アイツはしねーよ」
その鮮鋭なるライトグリーンの瞳は、視線の先で佇む凛々しき少女を見据える。
「彼女を、信頼しているのだな」
ラミーのその言葉に、承太郎は何故か虚を突かれたように視線を引き、
次いで学帽の鍔で目元を覆う。
そして。
「……どうだかな。
ただアイツは、一度ヤるって決めたコトは必ず最後までヤり遂げる。
善くも悪くも自分に絶対嘘をつかないのが、アイツのイイ処だからな」
「フッ……」
その風貌とは裏腹の解り易い繕いに
ラミーが穏やかな微笑を浮かべると同時に、
「むぅ……」
という何か面白くなさそうな呟きが加わった。
(昨日みたいに……時間はかけない……秒単位で終わらせる……!)
その戦闘空間にはやや不釣り合いの鼎談が行われていた場の遙か遠方で、
マージョリーは狂気の炎を心中に燃
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