第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#19
DARK BLUE MOON? 〜Gravity Angel Drive〜
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が最も有利に働く場所を
刹那に見回して中りをつけ、不自然さを極力消した佇まいでソコへ移動する。
「……」
その姿を認めた無頼の貴公子が、学帽の影に隠れた鋭い視線を静かに切った。
「承太郎」
やがて目の前に立っていたシャナが、小さな手を自分に向けて差し出している。
「コレ、預かってて」
その小さな手の中から託されたモノ。
深遠なる紅世の王、天壌の劫火アラストールの意志を現世に表出する
異次元世界の神器、 “コキュートス”
「……」
「……」
渡された二人の男は、事実意外そうな表情でシャナを見る。
「今回は、今回だけは、誰の力も借りず、自分自身の力だけでヤってみたいの。
だから、持ってて。 “必ず取りに帰ってくるから”」
圧倒的な能力を持つ相手を前にしても尚強い笑みを浮かべる彼女を前に、
承太郎は同じような微笑で、アラストールはどこかで見た既視感と共に無言で応じる。
そし、て。
「じゃ、行ってくる」
これから始まる熾烈なる死闘に微塵の恐怖も気負いもない晴れやかな表情で
そう言ったシャナに、
「……暴れてこい」
承太郎も微塵の危惧すら抱かない心情でそう告げる。
「うん!」
破滅の戦風の中で尚栄える、無垢な笑顔と共に
一人のフレイムヘイズは最愛の者に背を向けた。
振り向いたその先、待ちかねたと云わんばかりに
憎しみの凝塊と化したマージョリーが、
収斂された群青の炎気を全身から滾らせている。
瞬時に黄金の光で充たされた双眸を戦闘モードへと研ぎ澄まし、
シャナは手にした大太刀の切っ先を、空を斬る音と共にその存在へと刺し向けた。
無数の強烈な精神の波濤が、激しく渦巻く 『運命の潮流』
その終焉の幕が、今壮烈に切って落とされた。
【3】
遠間に位置する美女の足下から、群青の光が一斉に弾けソコから雪崩るように
ガラスの大地を滑走する夥しい量の不可思議な紋章と紋字。
ソレが一片の誤差も無く円形の自在法陣を組み、
ソコから火柱と共に 『召喚』 される異形のモノ。
フレイムヘイズ 『弔詞の詠み手』 必勝の定石、 蒼炎の魔獣 “トーガ”
その存在をライトグリーンの瞳に映した無頼の貴公子が厳かに呟く。
「アンタと同じ “群体型遠隔操作”
だがコッチは完全に戦闘のみに特化させた能力か。
アノ熊みてーな炎の獣がそれぞれバラバラに、
しかもパワー充分に攻撃して来るっつーンなら厄介以上の相手だな」
「アノような者達にこれまで附け廻されていたとは……
今更ながら肝を冷やす想いだ」
マージョリーの繰り出した強剛無比なる能力に慨嘆を漏らした承太郎の横で、
ステッキを支えに佇むラミーもまた同様の感想を
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