第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#19
DARK BLUE MOON? 〜Gravity Angel Drive〜
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歩いていたい」
昨日の報復も、凄惨な復讐者への嫌悪も抱く事なく、少女は静かにそう告げる。
その真紅の双眸へ確かに宿った、煌めく黄金の光と共に。
ソレが何故か無性に、マージョリーの心をメリメリとささくれ立たせた。
「何も知らない小娘が!! 知った風な事をベラベラとッッ!!」
「……」
激高するマージョリーとは裏腹にシャナは無言で前を見据えるのみ。
もう次の瞬間には無数の蒼い獣爪があらゆる方向から襲い掛かってきそうな
暴威だったが、少女は全く動じず瞳すらも逸らさなかった。
その裡に宿る己と対極に在る光が、
美女の怒りの臨界点を振り切り却って気勢を醒まさせる。
炎は高温になるほど、その色彩を稀薄にしていくという危うさを以て。
「フッ……まぁ、いいわ……
そんなに痛い目みたいなら、また同じようにしてあげる……
絶対の力の差というのをその身に刻んで、自分の甘さを想い知るコトね……」
再びその口唇に狂気の微笑を浮かべた美女は、
ガラスの大地にヒールの音を響かせ一歩前に出る。
「最も……「原型」 留めてたらの話だけど……」
「アァ〜! アァ〜!! ヤっちまったなぁ〜?
お嬢ちゃんよぉ〜! もうどうなってもオレァ知らんぜッ!
我が麗しの酒 盃をここまでキレさせて!
生きてるヤローなんぞ今まで一人もいねーからなァッッ!!
ギャーーーーーーーハッハッハッハッハアアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!」
その陶磁器のような素肌をビリビリと劈く魔獣の叫声。
当然ソレを戦闘開始の合図として即座に挑み掛かってくると想われた少女は意外、
くるりと己に背を向けその視線の先、ラミーのいる方向へと戻っていく。
そして。
「ごめんなさい。忘れてるコトがあった。だから、チョイ待って」
途中首だけで振り返り、まるで小用でも片付けにいくような口調でそう告げる。
「……」
完全に気の勢を殺がれたマージョリーであったがすぐに、
(バカ、が……ッ!)
口元を兇悪に歪め、右手に集束させた炎気と共に
シャナの無防備な背へと飛び掛かろうとした。
だが。
(!!)
突如、その少女の小さな背中に異様なプレッシャーを感じた。
無作為に飛び掛かれば刹那に斬裂されるような、
或いは幾千の拳撃で滅砕されるかのような、歴然とした脅威。
得体の知れないナニカが少女自身の能力とは別に、
彼女を護っているのを確かに感じた。
「……あの小娘ぇ、自力じゃ敵わねぇからってんで
何か妙な “宝具” でも持ち出してきやがったか?
姑息な真似しやがるぜ……!」
腰元でマルコシアスも同様の気配を感じたのか、歯噛みするように苛立ちを漏らす。
(……)
その所感に同意したマージョリーは己の自在法
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