第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#19
DARK BLUE MOON? 〜Gravity Angel Drive〜
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笑を浮かべるフレイムヘイズから、
断裁処刑の如く撃ち堕とされる魔狼の爪牙。
その、刹、那。
突如空間を疾走る、一迅の光が在った。
(――ッッ!!)
(ッッ!?)
今まさに、ラミーの存在を原型も留めぬほどに壊滅させようとしていた群青の前脚は、
その光に肘部分から真っ二つに剪断され構成を絶たれた上半分は、
余波で中空に弧を描きながら弾け飛び多量の火の粉と成って爆ぜる。
歴戦の研ぎ澄まされた戦闘神経でフレイムヘイズが反射的に視線送ったのは、
攻撃が来たであろう背後ではなくその「正体」が突き立つ前方。
( 『星ッ!?』 )
足下の強化ガラス内部に組み込まれた分厚い鋼鉄の梁に刺さったモノは、
有り触れていながらこの場には絶対にそぐわないモノ。
一枚の 『タロットカード』
希望と自由とを暗示する、『星』のカード。
しかし、こんなモノで。
その強度と耐熱性からして “紅世の宝具” には違いないが、
体積比と頑強さで遙かに上回る自分の焔儀を両断するには、
常軌を逸した途轍もないスピードと構成の脆い部分を微塵の誤差なく撃ち抜く
精密動作性が必要な筈だ。
一体 “誰” が、こんな真似を?
驚愕の事態に意識の混濁から醒めたマージョリーの頭上で、
その解答がけたたましいガラスの破砕音と共に
己の眼前へと舞い降りた。
【2】
屋上を覆うガラスの大天蓋が砕け、降り注ぐ硝塵のシャワーの中。
マキシコートのような学生服を着た長身の男が両手をポケットに突っ込んだまま、
その傍で寂びた黒衣を身に纏った紅髪の少女が手にした大刀を斜に構えたまま、
キラメキに包まれながら軽やかに内部空間へと舞い降りる。
そしてラミーの姿を隠すように二人で前に立つと不敵な表情でマージョリーを見据え、
宣戦布告のように逆水平へと構えた指先を共に彼女へ向けた。
「やれやれ、どうやら間に合ったみてぇだな。大丈夫か? ラミー」
呆気に取られるマージョリーを後目に、無頼を絵に描いたような男が傍で蹲るラミーに
歩み寄りそっと手を差し出す。
「間一髪だったわね。カード投げなかったら危なかったかも。
まさかいきなり 『本体そのもの』 に襲撃かけるとかこっちも想わないもの。
本当、やれやれよね」
(……ッ!)
己の存在を無視して話を進める両者に苛立ちながらも、
マージョリーは一抹の違和感と共にその思考を動かした。
(“さっきのは” ……やはりあのチビジャリの仕業……?
昨日の戦い振りからは妙にそぐわないカンジがするけど、
現状を鑑みてそう判断するしか――)
未だ狂気の炎は裡で激しく逆巻いてはいるが、
永年の経験により己を律しマージョリーは冷
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