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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#19
DARK BLUE MOON? 〜Gravity Angel Drive〜
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コシアス。
戯言(たわごと)を……)
 絶対の殺意を向けられた老紳士ラミーは、頬に冷たい雫が流れるのを感じながらも
手にしたステッキの先端を前へと差し出した。
「……」
 対して美女は、路傍の石でも見るような視線でソレを一瞥。
 被契約者の王はただゲラゲラと嘲りの狂声をあげ続けるのみ。
 その両者を意に介さず、ラミーは己の精神を一点に集中させた。
「……惑えッ!」
 枯れた声と共に両眼を見開き一度タクトのようにステッキを振った後、
小さく回ったその先端から深い緑色の炎が繁吹(しぶ)く。
「――ッッ!!」
 次の瞬間、マージョリーの双眸がその眦を引き裂くが如く散大した。
 眼前で発動するこの世成らざる存在の事象、
自在法ではなくその炎の 『色彩』 に。
 瞬時に純白の羽根が、吹雪のように空間を乱舞し互いの中間距離を隈無く覆っていく。
 だ、が。
「小ッ賢しいィッッッッ!!!!」
 己の右手に炎気を集束させ、鉤爪で引き千切るように空間を薙ぎ払った
美女の一閃により純白の羽根吹雪は瞬く間も無くスベテ灼き尽くされた。
 後には焼塵と群青の余韻が音もなく燃え散るのみ。
 その先で、まるで手負いの獣のように、フレイムヘイズは息と声とを荒げていた。
「……本当に……本当、に……! クソ、ヤローね……アン、タ……!
最後の最後まで……とことんムカつかせてくれる、わ……ッ!」
「!?」
 一体何が彼女の逆鱗に触れたのか、ソレはラミーの解する領域には在らず
その怒気に気圧された彼は想わず一歩下がる。
 炎の戦闘自在法は兎も角、 “幻術” に於いては王をも凌ぐという自負を持っていたが、
まさか己を追っている相手も同じ階層(レベル)に達しているとは誤算だった。
 その恐るべき存在を、 『ここまで近づけてしまった』 ソレ自体が既に致命的損失。
 これ以上退く事は適わない。断片を統合する時間もない。
最早自分に、一切の打つ手は無い。
「――ッッ!!」
 次の刹那、神器グリモアから延びた魔獣の頭部のような炎が、
己の右足に噛み付いていた。
「グッ……!」
 一拍於いて吹き出る深緑の炎と共に、
膝を支える力が抜けラミーはガラスの大地に(つくば) う。
 相手を確実に討ち取る為には、まず行動手段を先に潰す。
 次いで攻撃手段、防衛手段、知覚手段と順にもぎり取っていき、
最後に微塵の容赦も無く首を刎ね飛ばす。
 冷酷非道にも映るが、弱肉強食の摂理で充たされた戦場では当然の定石。
(ここまで……か……)
 己の生きようとする想いを、相手の 「執念」 が上回った事を意外にも冷静に認め、
ラミーは眼前の怒れるフレイムヘイズを見上げた。
 己が 『目的』 を果たせずに消滅するのは無念ではあるが、

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