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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十一話 開幕ベルは鳴った
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極的な支援に繋がらなかったのではないだろうか。

だとするとヤンの査問会議も別な視点が考えられる。ヤンが独裁者足りうるかどうかを確認したのではないだろうか。ホアン・ルイは自由惑星同盟が国家として金属疲労を起こしていると考えた。民主主義を護るには強力な指導者が必要だと思った。シェーンコップではないが、形式ではなく民主主義の実践面を守るには強い指導者が必要だと考えたとしたら……。

トリューニヒトはいずれ失敗する。その後をヤン・ウェンリーは継げるか? 強力な指導者として民主主義を守れるか? それこそがあの査問会に出た理由だとしたら……。

結果はNOだった。ヤン・ウェンリーはルドルフのような暴君にはならない、その意味では安心しただろう。しかし、民主主義を護る独裁者にもなれないと思ったに違いない。その後はホアン・ルイにとっては失意の日々だったろう。彼は徐々に政治的活動が減っていく。

だがこの世界ではトリューニヒトに積極的に協力している。真実協力しているのか、それとも次を見据えての協力か。場合によってはヤン、あるいはビュコックによる軍人政権が出現する可能性もある……。そうなれば脅威だな。だがその時にはレベロがどう動くか、レベロには耐えられないはずだ。同盟内部で熾烈な権力闘争が始まるかもしれない。

いかんな、こんなことばかり考えているとまた寝そびれてしまう。明日も早い、ゆっくりと休んで明日に備えるべきだろう。

そう思って眠った俺だったが、ゆっくりと休む事は出来なかった。TV電話が呼び出し音を立てている。時刻は三時半を回ったところだった。

「始まったか……」
思わず言葉が出た。何が起きたかは分からない、しかし始まったのは間違いない。夜中の三時半につまらない用件で宇宙艦隊司令長官を起こす馬鹿はいない、何かが起こった。

眠気は飛んでいた。俺はベッドを離れ俺を呼んでいるTV電話に向かった。十年前の誓いがこれから果たされようとしている。




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