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真の醜悪
第二章
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「一番卑しい、どうしようもない悪党はな」
「最近よく来ておるじゃろう」
「あの連中か」
「学者だのジャーナリストだのに多いであろう」
「政治家や弁護士にもな」
「市民活動家とかいう者もおるな」
「仕事は様々じゃが」
 その名前はだ、青鬼は言った。
「やっておることはな」
「息をする様に嘘を言い他人を貶め自らはその嘘や貶めで人を騙して金を貪る」
「地位もな」
「ああした者達の方がな」
「卑しいしか」
「悪いのではないのか」
「御主もそう思うか」
 赤鬼の言葉を受けてだ、青鬼も応えた。
「あの者達のことを思うと」
「だから閻魔様もあの者達は無間地獄に落としておるな」
「最も卑しく邪悪な悪人共としてな」
「下手な人殺しや盗人よりも性質が悪い」
「そう判決されておるな」
「しかもあの者達はここでも嘘を言う」
 この地獄でもというのだ、赤鬼も言うのだった。
「鏡の前でな」
「そうじゃな、あの鏡は真実を映し出すのにな」
「それで嘘を言って舌を抜かれるが」
「ここではまた舌が生える」
 殺されても風が吹けばすぐに蘇る、それが地獄なのだ。そのうえで延々と生前の報いを受け続けるのである。
「それでまた嘘を言う」
「地獄の責め苦を受けても逃げようとする」
「責任を転嫁し言い逃れをする」
「他人を貶めることを止めぬ」
「そしてやはり嘘を言う」
「卑しい奴等」
「あの者達こそがな」
 まさにとだ、青鬼も言うのだった。
「最も悪い奴等ではないか」
「破戒僧は昔多かったがな」
「いや、破戒僧よりまだ性質が悪いであろう」
「確かにな」
「だからな」
「あの者達の方が悪いか」
「そうではないか」
 青鬼はかなり真剣にだ、赤鬼に話した。
「松永弾正より平清盛よりもな」
「少なくとも卑しさは違うな」
「相当にな」
 それこそというのだ。
「潔くもない、醜く歪み薄汚い」
「吐き気がする位じゃな」
「だから松永弾正や平清盛よりもじゃ」
 さらにというのだ。
「卑しく醜いであろう」
「そしてさらに悪いか」
「松永弾正や平清盛は嘘を吹聴し他人を貶めてはおらぬ」
「嘘を嘘とわかって他人を騙しそれを信じ込ませ煽ることもな」
「一切しなかった」
 そうした悪事はというのだ。
「そこから新聞やら本やらを買わせテレビの視聴率を稼がなかった」
「ではあの者達こそじゃな」
「この世で最も悪い者達であろう」
「言われてみればそうじゃな」
「全くじゃ」
 二人でこうした話をした、そして。
 二人は閻魔大王に自分達のことを話した、すると。
 閻魔大王もだ、考える顔で二人に言った。
「実はわしもな」
「その様にお考えですか」
「ああした連中こそがですか」
「うむ、最も悪い者達ではとな」

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