第五章
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「ないわよ」
「結構有名な音楽家でしょ」
ベルリオーズといえばとだ、ナタリーはマリーに返した。フランスのクラシックの作曲家の中でもというのだ。
「この人は」
「それでもクラシックっていっても作曲家多いでしょ」
「だからなのね」
「兄さんも勉強したことない人いるわよ」
「そうなのね」
「まだね」
「だからマリーのお兄さんもなのね」
ナタリーもここまで聞いて納得した。
「ベルリオーズはまだ知らないの」
「そうよ、だから」
それで、というのだ。
「私も聴いたことないわよ」
「じゃあはじめてね」
「そうなるわね、それじゃあ」
「ええ、夕方ね」
「行きましょう」
こうしてだった、二人で。
一緒にだ、そのコンサートに行った。まずはラヴェルのボレロにドビュッシーの海、そしてビゼーはカルメンの第一幕前奏曲にだった。
次の曲、それがメインだった。
「幻想交響曲ね」
「ええ、交響曲だから」
コンサート会場の中でだ、ナタリーは隣の席にいるマリーに応えた。
「一時間位あるわ」
「長いわね」
「だから気合入れて聴きましょう」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「この曲はね」
幻想交響曲、それはというのだ。
「かなり独特な曲みたいよ」
「そうなの」
「ええ、だから最後までね」
「聴いて」
「どんな曲か具体的に楽しみましょう」
「それじゃあね」
マリーはナタリーの言葉に頷いた、そしてだった。
二人でその幻想交響曲を聴くことにした、その前に。
マリーはコンサート会場に入る前に貰った今回のコンサートの指揮者やオーケストラ、演奏曲について書かれたパンフレットを開いた。
そして幻想交響曲の部分を読んでだ、まず気付いた。
「まさか」
「どうしたの?」
「いえ、この曲五楽章なのね」
「そうね、最初は夢、情熱」
ナタリーも言う。
「それから」
「次は舞踏会」
「そして野の風景」
「ギロチン台への行進で」
「最後がサバトの夜の夢ね」
「そのままじゃない」
マリーはこうも呟いた。
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