第四章
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「そうした推理はね」
「わからないね」
「ルパンは好きだけれど」
「ルパンは怪盗じゃないか」
「怪盗でも推理もするのよ」
「名探偵でもあるんだ」
「そうした作品もあるわよ」
ルパンのシリーズにはというのだ。
「けれどルパンでもないから」
「わからないね」
「ええ、ただお話は聞いたわ」
「うん、とにかくね」
「そのままじゃよくないわね」
「人間睡眠も大事だからね」
セインは曇った顔でマリーに返した。
「だから最近困ってるんだ」
「ええ、今のうちに何とかしないとね」
「これ以上寝不足にならないうちにね」
セインはマリーに困っている顔で話した、しかし。
マリーはその話を聞いても何が何なのかわからなかった、夢らしくおかしいものだと思うだけだった。だが。
兄をどうにかしてあげたいという気持ちがあってだ、それでだ。
この夢についてあれこれと考えだした、そうして三日程経ったが答えは出なかった。しかしその彼女にだった。
通っている大学で同じコースにいるナタリー=サルコジにだ。こう声をかけられた。
「今日の夕方時間があるかしら」
「貴女今日の夕方はデートじゃないの?」
マリーはそのナタリーにこう返した、まずは。彼女のショートの黒髪に黒い瞳、ボーイッシュな長身を見ながら。顔は中性的であり少年めいている。服は黒づくめのズボンのスタイルだ;。
「確か」
「相手が風邪ひいて」
「お休みになったのね」
「そうなの、コンサートに行こうと思っていたら」
「彼の分がなのね」
「チケット余ったのよ」
「それで私になのね」
マリーは事情を察して返した。
「コンサートになのね」
「マリーのお兄さんバイオリン奏者でしょ」
「そのこともあってっていうのね」
「そう、どう?」
来てくれというのだ。
「一緒にね」
「私が暇じゃなかったらどうするのよ」
「その時は別の相手によ」
「声をかけるのね」
「けれどまずは貴女によ」
声をかけたというのだ。
「それでだけれど」
「ええ、それじゃあね」
マリーはその言葉を聞いてだ、こうナタリーに返した。
「私今日は暇だから」
「じゃあいいわね」
「ええ、コンサートね」
「それもクラシックの」
「確かに兄さんもクラシックだし」
そのバイオリン奏者だとだ、マリーはまた答えた。
「私も結構好きだし」
「じゃあね、今日は我が国の音楽家の作品が演奏されるらしいわ」
「っていうとラヴェルとかドビュッシーとか」
「あとビゼーとかね」
「フランスのクラシックもいいからね」
「そう、それでね」
さらにというのだ。
「ベルリオーズもよ」
「ベルリオーズね」
「知ってる?」
「名前はね、ただね」
ベルリオーズと聞いてだ、マリーはこ
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