第五章
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「それ釣ろか」
「そうしよか」
「多く釣った方が黍団子一本な」
商店街の中にある菓子屋で売っているものだ。
「そうしよか」
「ほなな」
こう話してだ、そしてだった。
二人でペットショップ、商店街の入口というか駅のすぐ傍にあるその店の方に向かった。だが駅までに来たところで。
美咲は丁度横に見た神の廟を見てだ、こう言った。
「何や、えらい汚れるな」
「あっ、ほんまや」
萌美もその廟を見て言った、すぐそこに目指すペットショップと美咲の家であるたこ焼き屋が見えている。左手にペットショップ、前が美咲の家だ。
「毎日ここ通るのに」
「気がつかんかったわ」
「そういえばさっきや」
その汚れている廟を見てだ、萌美は言った。
「トイレ掃除の話してたな」
「ああ、してたな」
「ってことはな」
「廟掃除したらか」
「それで景気よくなるんちゃうか?」
こう美咲に言うのだった。
「ひょっとしたら」
「そうかもせえへんな」
美咲も萌美の話を聞いて言う。
「どっちにしろ神棚とか仏壇ってな」
「いつも奇麗にするもんやしな」
「ほなこの廟も奇麗にしよか」
「今からな」
「しかもええ具合にや」
美咲は正面の自分の家を見た、廟とは踏切を挟んですぐの場所だ。十歩もあれば簡単に行くことが出来る。
「うちの家あるし」
「そこでおばちゃんから雑巾とか借りて」
「掃除しよか」
その廟をだ、こう二人で話してだった。
二人は実際に一旦美咲の家に行って美咲の母に事情を話して雑巾を借りた、母の方も掃除ならと言って快諾した。
そして乾拭で丁寧に掃除をした、すると。
埃も汚れも多くてだった。
「これはな」
「かなり掃除されてへんな」
「そやな」
「何年かって感じで」
「えらい汚いわ」
二人で一緒に掃除しつつ言っていく。
「こんだけ汚いってな」
「神様のおるところやし」
「それやったらな」
「奇麗にせんとな」
「うちも気付かんかったわ」
美咲は舌打ちしてこうも言った。
「家のすぐ傍やのに」
「踏切挟んですぐのな」
「そんな場所にあって毎日みたいに横通ってるのに」
「うちもや、毎日見てるとな」
「かえってか」
「気付かんもんか?」
「これこそまさにな」
ここで美咲が言う言葉は。
「灯台元暮らしやな」
「これ廟やけどな」
「それでも灯台やろ」
「チカくのものにはかえって気付かへん」
「そういうものやな」
「ほんまやな、けど気付いたからにはな」
それならとだ、萌絵も言う。
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