第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#18
DARK BLUE MOON] 〜Body Feel Ignited〜
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そして全身で、コレ迄に無い程の勢いで逆巻く、狂気の焔。
破滅への秒 読 みは、今この瞬間より、確かにソノ時を刻み初めた。
【5】
従業員と財団関係者以外は立入禁止のホテル屋上。
フェンスで仕切られていない中央部にヘリポートがあり、
その周囲は管制塔や気象観測機器、巨大な衛星アンテナ等が天を挿す形で屹立している。
上空を吹きつける強烈な風が、承太郎の学ランとシャナの長い髪を靡かせた。
忙しない朝食の後、ラミーを伴ってこの場所に赴いた二人は
その予期せぬ来訪者の言葉を待つ。
突風に帽子を飛ばされないように手で備えながら、
鈍色のステッキを携えたその老紳士はやがて厳かに口を開いた。
「一日振りだな? 空条 承太郎。昨日は色々と世話になった」
その彼の言葉に気まずそうなカンジで眼を細めた無頼の貴公子はブッきらぼうに返す。
「よせよ。結局逃がしちまったんだ。
そのコトだけでもアンタに伝えるべきだったが、
色々あっていけなかった。すまねぇ……」
そう言って学帽の鍔で目元を覆う。
その隣で何故かシャナが、頬を紅潮させて不機嫌そうに押し黙っていた。
「改めて初めまして。 “天壌の劫火” のフレイムヘイズ “炎髪灼眼の討ち手”
それとも、シャナ、と呼ぶべきかな?」
「正確には、 『空条 シャナ』 」
その指先を緩やかに逆水平へと構え、ラミーを差しながら少女は訂正を促す。
「フッ、なるほど。それは失礼した」
ラミーは承太郎を見て微かに笑い、そして視線を移す。
シャナの胸元にあるペンダント “コキュートス” その裡に。
「本当に、久方振りだ。アラストール。どうにも、多大な迷惑をかけたようだ。
幾ら陳謝しても仕切れない」
「構わぬ。我等は我等の使命に従っただけの事。
ソレに偶発的にだが、此方の益になる事も在った」
「ほう?」
ラミーが再び視線を向けた先、承太郎が訝しげに煙草を銜えていた。
場都の悪さ打ち消すように、紫煙を吹きながら彼は問う。
「それより、一体どうしたんだ? こんな朝っぱらからいきなりよ。
まぁアンタの方から来てくれた事で、こっちの目的はヤり易くなったがよ」
そう問う青年に、ラミーは厳かな微笑を浮かべながら返す。
「イヤ、実はお別れを言いに来たのだ。トーチもある程度集まったし、
何よりアノ戦闘狂共がこの地に現れた以上、留まるのは得策と言えぬのでな」
少々意外そうな表情で、承太郎は携帯灰皿に吸い殻を押し込みながらラミーに向き直る。
「大丈夫、なのか? その、一人でよ」
口調は無愛想だが、しかし誰よりも自分の身を案じてくれている青年に
老紳士は穏やかな表情で応じる。
「フッ、まぁそう心配するな。私は確かに戦闘は
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