第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#18
DARK BLUE MOON] 〜Body Feel Ignited〜
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に、
異界の魔獣は高らかに笑う。
「……」
ソレに連られるように、美女の口唇にも柔らかな微笑が浮かんだ。
緩やかな陽光がその美貌を照らす中、やがてマージョリーも静かに口を開く。
「この先、何が在るかは解らない。
でも、最後まで、一緒よね? マルコシアス」
「今更訊くんじゃあねーよ! 何が在ってもオメーの傍から離れねぇ!
一生付きまとって一番傍で騒ぎまくってやっから覚悟しときやがれッ!」
革表紙をバタバタ鳴らしながら狂声をあげ続けるその優しい狼を見つめながら、
(ありがとう……私の…… “蹂躙の爪牙” ……)
本当に静謐な声で、マージョリーは一度だけそう呟いた。
微かに潤んだ瞳を美しく彩色された指先で拭い、
美女はベッドの周りに散らばったタイトスーツの上着に手を伸ばす。
その胸ポケットからヒラリと落ちる、一枚の写真。
ソレを眼に止めた刹那、美女の全身がザワめいた。
(……)
凍ったような瞳の色で彼女はソレを拾い上げ、
『中に映った』 一人の人物を灼き尽くすように見つめる。
熱、い。
心臓の鼓動が、破裂する程に高鳴っていくのを感じた。
(そうか……“おまえの”……所為か……)
正常な思考はソコで跡形もなく砕け散り、
ただ一つの狂おしく兇暴な感情だけが彼女の存在を充たしていく。
(私からアノ娘を奪ったのも……私がフレイムヘイズになったのも……
そして……私からアイツを奪うのも……ッ!)
脳裡にフラッシュ・バックする、幾つもの光景。
ソレと同時に爆発する、魂の叫号。
“全部全部!! 『紅世の徒』 の所為かッッッッ!!!!”
裸身の美女を中心に、部屋全域を覆い尽くす程に迸る群青の火走り。
瀟洒な空間をジリジリと灼く蒼い破片の向こうに、
復讐の凝塊と化した一人のフレイムヘイズの姿が在った。
「おいおいおいおい! いきなりどうした!?
ンな蛻 の写真なんか見て一体……
まさかッ! また 『映って』 やがんのか!?」
“遠隔念写能力” スタンド 『隠 者 の 紫』 の効果は、
念写された対象が 『この世に存在している限り』 持続する。
無論その存在が消えれば対象は写真の中から消失するが、
(本来有り得ないコトではあるが)もし再び現れれば、当然スタンドは同じ像を結ぶ。
ソノ 『本体』 の、正確な 「位置」 さえも同様に。
現在のマージョリー、マルコシアス両名に、
このスタンド能力を正鵠に把握する術は無い。
しかし、復讐の凝塊と化したフレイムヘイズにとっては
過程など何の意味も成さずその「結果」のみが存在すれば充分。
美女の裡で、
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