第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#18
DARK BLUE MOON] 〜Body Feel Ignited〜
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が一本出現し、
面倒そうに 『本』 の革表紙を掻く。
「でもまぁ、それならソレで別にいーんじゃねーのか?
オメーが気に入ったンならそのまま連れてっちまえばよ。
どこぞの 『色惚け』 じゃあねーがフレイムヘイズや徒が
“ミステス” 囲うなんてこたぁ珍しかねぇし、
案外あのヤローは遣えると想うぜ。
オレもオメーも結構熱くなるタチだから、
緩衝材として一人位あーゆーヤツがいてもよ」
「……」
どうした事か今日は茶化さず真剣にそう自分に忠告するマルコシアスに、
マージョリーは同じ仕草のまま無言で応じる。
ソレはもう、考えた。
もし本当に 『そう出来るなら』 どんなに良いか。
事実昨夜酒に戯れている時には、もう八割方そうしようとも想っていた。
でも。
でも……
「怖い、のよ……失うのが。大切な誰かが、私の前から消えてしまうのが。
その相手が、優しければ優しいほど。私を、想ってくれればくれるほど」
「……」
今度はマルコシアスの方が、彼女の独白を聞きながら無言で応じる番。
「もう、あんな “痛み” には、堪えられそうにない。
あんなに、辛いなら、あんなに、苦しいなら、ソレなら……」
脳裡で甦る、栗色の髪の少女。
満面の笑顔で、自分を呼ぶ優しい声。
「最初から、誰もいない方が良い……!」
呻くようにそう言った後、美女は剥き出しの素肌を抱え込み
俯いたまま肩を震わせる。
その様子をマルコシアスは黙って見つめ、
マージョリーの想像を絶する心の疵の深さを改めて実感した。
彼女と契約して以来、それからの血で血を荒らす殺戮の日々の中で
少しはその疵も風化したと想っていたが、
どうやらソレは大いなる誤解というヤツだったらしい。
寧ろ、更に悪化していると見るべきか。
昨日の、アノ男との出逢いにより。
「……」
厳かな仕草で、嘗て人の形体を執っていた時と同じままの視線で
俯くマージョリーを見据えていたマルコシアスは、やがておもむろに口を開く。
「おいおい、随分ツレねー話だな?
我が愛憐のデンドロビューム、マージョリー・ドー。
オメーさんにゃあ、オレがいるだろ?」
「……ッ!」
伏していた顔を、咄嗟にあげるマージョリー。
いつもの煩い銅鑼声ではない、優しく包み込むような、美しい男の声。
底すら無い絶望の淵に瀕していた自分に降り注いだ、アノ時と同じ声。
そんな自分の心情など意に介さず、マルコシアスは続ける。
「フン、まぁ結局いつも通りに戻ったってだけか。
無敵のオレサマ達には、仲間もミステスも何もいらねーってかぁッ!?
ヒャーーーーーーーッハッハッハッハッハァァァァァァ!!!!!」
今度はいつも通りの銅鑼声で、悲しさも寂しさも吹き飛ばすよう
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