第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#18
DARK BLUE MOON] 〜Body Feel Ignited〜
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上、アノ娘の夢なんて見なかったっていうのに」
言いながら、物懐かしげに胸元のロザリオを弄る。
「そりゃあ当然だろ。
オメェさんが本格的にフレイムヘイズとして名を馳せたこの100年間。
寝る間も喰う間も惜しんでブッ潰し咬み千切る、正気じゃ生きちゃいらんねぇ、
そんな殺し合いを毎夜繰り広げて来たんだからよ。
後ろを振り返る余裕なんぞありゃしねぇ。
そうじゃなかったら生き残れねぇ戦だった筈だぜ」
共に凄惨なる修羅の岐を潜り抜けてきたマルコシアスが、
珍しく正鵠な物言いをする。
「“アノ時” は気づかなかったけれど、
ノリアキと同じ 『能力』を持っていたのね、アノ娘……
出来れば一度、視ておきたかったわ。
きっと、アノ娘の精神と一緒で、それは、綺麗だったでしょうね……」
夢の所為か幾分感傷的になっている己のフレイムヘイズを
マルコシアスがいつもの調子で促す。
「ほれ、今日は特別に朝っぱらから “清めの炎” 施 してヤっからこっち来な。
カキョウインとの待ち合わせまで後30分もねーぜ」
そう問われた美女は一度その深い菫色の瞳を閉じた後、
やがて意を決したようにもう一度開く。
「ノリアキを、コレ以上巻き込むのは止めましょう。マルコシアス」
「アァ!?」
真っ直ぐな視線で告げられた想わぬ要望に、紅世の王は頓狂な声をあげる。
「おいおいおいおい、まさか見限るってぇのか?
確かに女みてーにヒョロい奴だが、結構役に立ってたじゃねーか。
状況に応じた判断力も機転も、今までの案内人とはダンチだし
オマケに妙な能力も持ってる。正直アレ以上の奴となると」
「“だからよ” 」
(本当に)珍しく、マージョリー以外の者を称賛する王の声を彼女が遮る。
継いで、憂いを込めた瞳で告げる。
「これ以上、一緒にいたら、きっと……」
そこで言葉に詰まり、美女は微かに紅潮した頬を折り曲げた膝へ
シーツ越しにくっつける。寝てる間に解けた髪がサラサラと胸元へ流れた。
「おいおいおいおい、まさかあのヤローに岡惚れしちまったってんじゃあねーだろーな!?
逢ったのは昨日だし、第一オレ達ァアイツの好きな喰いモンすら知らねーんだぞ!?」
「……」
そう問われた美女は何も答えず、
代わりに涙ぐんだような表情で悪い? とグリモアに訴える。
画板を幾つも折り重ねたような大形な 『本』 が開き、
そこから深い群青色の炎が溜息のように吹き出した。
「……やれやれ、マジかよ? フレイムヘイズきっての 『殺し屋』 が、
あんな女みてーな人間の男に骨抜きにされちまうとかよ。
全く以て笑い話にもなりゃしねー」
そう言うとグリモアの内部から鉤爪を持つ前脚
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