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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#18
DARK BLUE MOON] 〜Body Feel Ignited〜
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二人の間に降りた妙な沈黙を掻き消すように、
承太郎は煙草に火を点け、シャナはメニューを手に取って開いた。
「さて、完全に手持ち無沙汰だな。
どうする? 飯喰ったら海岸で訓練でもするか?
フーゼツ張ってよ」
「え!?」
 想わぬ承太郎の申し出に、シャナは喫驚な声をあげる。
 その拍子でグラスの水が少し零れた。
「く、訓練って、おまえと私、で?」
 そう言って自分を指差すシャナに、
「他に誰がいンだよ。第一オレはその “女” の(ツラ)も知らねーんだぞ。
この待ちの一手ってのも、オメーがいなきゃあ成立しねーだろーが」
紫煙を彼女とは逆方向に細く吹きながら、承太郎は剣呑な瞳で言う。
「……」
 告げられた事は全くの正論、しかし少女の心中ではソレとは全く別の事象が
鼓動を高鳴らせていた。
 色々あって、最近はめっきり二人だけになれる時間はなかった。
 特に意識してはいなかったけれど、失いかけて初めて解るその大切さ。
 そしてソレが、今再び当たり前のように自分の元へ戻ってきた事を深く実感した。
 断る理由なんて、何もない。
 邪魔する者は、誰もいない。 
「そ、そうね、じゃあ、久しぶりに」
 微かに上擦った声と高揚した意識。
 コイツと戦うのは、本当に楽しい。
 討滅の時とは全く違う、全身を隈無く満たす充実感。
 共に成長した事を実感出来る、光り輝くようなその瞬間。
 今まで、自分のスベテを全力でブツけてもたじろかず、
受け止めてくれる人なんて、一人もいなかったから。
 その、嬉々として瞳を瞬かせる少女の耳元へ届く、予期せぬ来訪者の声。
「ここ、よろしいかな?」
(!) 
 気配を微塵も感じさせぬまま、いつのまにか己の脇にいた老紳士が
黒い天然素材の帽子を外しながら自分に会釈をしていた。
 唖然とした表情でその老紳士を見据える少女とは裏腹に、
驚愕で瞳を見開く二人の男。
「ラミー……」
 本来そこにいる筈のない者の名を、承太郎が静かに呟いた。





【4】

「……ン」
 緩やかな陽射しが躰を撫でる瀟洒なベッドの上、
美女は一糸まとわぬ姿で目を覚ました。
 僅かに身につけているのは豊かな双丘で鈍い光沢を放つロザリオのみ。
 昨夜の深酒の影響か、乱雑に脱ぎ散らかした衣服が周囲に散らばっており、
若干頭も重い。
「お目覚めかい? 我が微睡みの淑女、マージョリー・ドー」
 視線を向けた先、ウォールナットのテーブルの上に置かれた
彼女の被契約者である狂猛な王が軽佻な声で呼び掛けた。
 いつもの朝の、いつもの光景。
 シルクのシーツを胸元に手繰り寄せ、
美女は誰に言うでもなく独り言のように呟く。
「昨日、本当に久しぶりに、ルルゥの夢をみたわ。
もう100年以
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