第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#18
DARK BLUE MOON] 〜Body Feel Ignited〜
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端の灰を落とした後、
銜え煙草のまま無頼の貴公子は厳かに二本の指を眼前で構えた。
「ラミーは、別に自分を追ってるヤツが此処に来ても困らなかった。
或いは、絶対に気配を察知されない自信が在った。
いずれにしても、そこにいるのは 『自分の存在の切れっ端』 で、
最悪殺されても 『全体としては』 かほどのコトもねぇからだ」
「!!」
「う、む……」
相も変わらない、少ない材料から決定的な解答を導き出す
空条 承太郎の神懸かり的な洞察力に、
深遠なる紅世の王とフレイムヘイズが驚嘆の意を示す。
同時に。
「確かにッ!」
「それならば」
想わず口を開いてしまった両者が、一度決まり悪そうに互いを見つめ
最終的に王の顔を立てシャナの方が引く。
「それならば、瞬間的な移動よりも余程説明はつくな。
ラミー自身が蹂躙らを幻惑しながらも “逐電仕切れなかった”
という事実にも繋がっていく。何より彼奴の真名は “屍拾い”
膨大な量のトーチを余さず拾い集めるには、確かに群体方が
首尾良く事が運ぼうな」
「“木の葉を隠すなら森の中” の、ちょうど 『逆』 ね。
幾らトーチに寄生しててその存在の気配が薄いとしても
『一体だけなら』 相手もバカじゃないんだからいずれは見つかってしまう。
でも数十体、場合によっては数百体に分裂すれば捕まる可能性は限りなく低くなるわ。
何しろ 『全部本物』 なんだしね」
「紅世の徒ってのは、自在法で自分の姿形を変えるのはお手の物なんだろ?
なら人混みに紛れて相手の包囲網から離れ、その後で元に戻れば良いっていう寸法さ。
相手を攪乱しながら逃走経路を確保し、尚かつ 『仕事』 もきっちり行う。
一石三鳥のヤり方ってワケだ。見事なモンだな。
自分の特性と 『能力』 の遣い処 ってヤツを弁えてやがる」
そう言うと承太郎は、根本まで灰になった吸い殻を携帯灰皿に押し込む。
「で、具体的にこれからどうするの?」
最早己の嬉々とした表情を隠す事もなく、
少女は陽光に反照するライトグリーンの瞳を見つめながら承太郎に問う。
問われた彼も、幾分余裕の生まれた表情で彼女に返す。
「そうだな。取りあえずこの閉塞状態からは抜け出せそうだ。
まずこのまま街へ出て、ラミーの “分身” を探す。
オレとオメーで手分けすりゃあ、一体位はすぐに見つけられるだろう。
時間と手間からして、全部違う顔とは考え難ィし、何よりアラストールがいるからな。
後はそっからラミーの 『本体』 に連絡を取るか張り込むかして、
“統合” するその瞬間を待てば良い。
「切り札」はこっちが握ってンだから確実に相手の先手は取れるし、
巧くすりゃあ背後から一発喰ら
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