第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#18
DARK BLUE MOON] 〜Body Feel Ignited〜
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不得手だが、
『ソレ以外の』 自在法ならまだまだ他の者には負けん。
巧く逃げ切ってみせるさ。これまでと同じように」
そう言ってラミーは一歩前に出る。
「君は本当に、良い青年だな。この地に渡り来て、
君のような人間と逢えたコトを嬉しく想う」
「!」
目の前に差し出された、白い手袋で覆われたラミーの右手。
承太郎は何となく視線を背けたまま、無表情でソレに応じる。
人間と紅世の徒との間に流れる、奇妙に篤い雰囲気。
「……」
その二人の様子を見つめていたシャナは、
ラミーの言葉をまるで自分の事をように嬉しく想えた。
「後は、私達に任せておいて。二度とアナタをつけ回そうなんて想わない位に、
徹底的に懲らしめておくから」
手を離した二人の間へ割って入るように、少女は明るい声でそう告げる。
「そうして貰えると重 畳の至りだ。
さて、心残りは尽きないがそろそろ失礼させて戴こう」
そう言うとラミーはヘリポートの離着場に向けて歩を進め、
その中心でこちらに向き直る。
「では縁在らば、因果の交叉路でまた逢おう。
空条 承太郎。そして空条 シャナ」
「「ッッ!!」」
承太郎とシャナが同時に息を呑む刹那、もう既にラミーはその姿を火の粉に換えていた。
強風に吹き曝され一斉に舞い散ったその炎は、深い緑色をしていた。
【6】
「さて、振り出しに戻る、ね」
「むう、何という|疾さ。既にもうこの街の海岸沿いにまで移動している。
空間転移系の自在法、か?」
「……」
ラミーが消えた後、シャナとアラストールが各々の心情を口にする。
だがそれよりも前から、承太郎は胸に抱いたある違和感を既に演算し始めていた。
「本当。スゴイ疾さね。わっ、もうまた別の場所に移動してるし。
『能力』 か “自在法” かまでは解らないけれど、
こんなに疾く動けるならそう簡単に捕まるわけない、か。
なら尚のコト私達は戦闘狂のみに専念……」
そこでシャナは、俯いたまま長考に耽っている承太郎に気がついた。
「どうしたの?おまえ?さっきから黙ってるけど」
「……どうも釈然と、しねぇな……」
やがて顔をあげた承太郎は少女を見据えるようにしてそう呟く。
同時にシャナ、アラストールの両者は、ミエナイ引力に惹かれるが如く
承太郎に視線が釘付けになるのを余儀なくされる。
如何なる時も冷静で、怜悧な知性に裏打ちされる彼の研ぎ澄まされた 【洞察力】
ソレを発揮する際の独特な気配が、彼の全身から寂然と感じられたからだ。
ソレがどれほど頼りになるモノかは、
今までの戦闘を通して二人は知り尽くしている。
「どうか、した?」
シャナは胸の鼓動が高鳴るのを覚られないように、出来
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