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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十九話 帝国内務省
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たリヒテンラーデ侯の言葉が部屋に響いた。

「何とか出来ないものでしょうか」
「それは駄目だ、ヴァレンシュタイン」
「シュタインホフ元帥……」
ヴァレンシュタインの表情が曇った。

ブラウンシュバイク、リッテンハイムが他の貴族達を振り切って逃げ切れるかどうか、それに対しては一切手出しはしない。自らの力で切り抜けられないようでは受け入れることなど出来ない。それが彼らに対しての決定事項だ。

「彼らに対して情が移ったか、ヴァレンシュタイン」
「そういうわけでは有りません。ただ……」
「ただ?」

ヴァレンシュタインは国務尚書の問いに一瞬口籠もったが
「御婦人方のことを思うと……」
と呟くように吐いた。

部屋に沈黙が落ちた。ブラウンシュバイク公爵夫人、リッテンハイム侯爵夫人、そしてその令嬢達は度々ヴァレンシュタインを呼び出している。そして夫達を助けるようにと言い続けている。この男は冷徹ではあっても冷酷ではない、辛いのだろう。


やがてヴァレンシュタインは頭を一つ振ると、私に問いかけてきた。
「シュタインホフ元帥、お願いしていました反乱軍への侵攻作戦ですが如何でしょう?」
「ふむ、思わしくは無いな」

皆の視線が私に集まる。思わず眉を顰めた。
「星域情報、航路情報は集まりつつある。しかし問題は今回の内乱でフェザーンそのものが反乱軍の占領下になるかもしれん事だ」
「なるほど、その場合はフェザーン回廊を使おうとすれば回廊の入り口を反乱軍が先に押さえるか……」

「その通りだ、軍務尚書。兵力ではこちらが圧倒的に優位のはずだ。突破できぬとは言わぬが損害は無視できぬものとなろう。まして我等はフェザーン回廊を使ったことが無い、思わしくは無いと言うのは控えめな表現だな」

私と軍務尚書の遣り取りを聞いていたリヒテンラーデ侯が眉を顰めた。
「面白くないの」
「フェザーンはなんとか中立のままにしておく事は出来ませんか?」
私の問いに答えたのはエーレンベルク元帥だった。

「難しいな、ルビンスキーを放置する事は出来ん。となればどう見ても軍をフェザーンに送らなければなるまい。それを反乱軍が黙って見ているとも思えん。フェザーン方面軍が動き出すのは十五日だったな、ヴァレンシュタイン」
「はい、訓練と称して作戦行動に入ります」

「止める事は出来ぬか、ヴァレンシュタイン」
私の問いにヴァレンシュタインはゆっくりとした口調で答えた。
「私はむしろ積極的にフェザーンへ反乱軍を引きずり込むべきだと思っています」
「?」

思いがけない言葉に皆の視線がヴァレンシュタインに集る。
「反乱軍の戦力は現状では約五個艦隊、内乱が終了し捕虜交換を行なっても六個艦隊が精一杯でしょう」
「……」

「反乱軍が帝国軍の侵
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