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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十九話 帝国内務省
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持局だ」

「……」
「当時の帝国臣民は皆、銀河連邦という共和主義国家で育った。警察そして社会秩序維持局にしてみれば何時反帝国勢力となってもおかしくないと思えただろう。彼らにとって平民は保護すべき存在じゃない、監視し弾圧すべき存在だった。彼らが守るのは帝政であり、貴族制度だったんだ。内務省にはそういう風土がある」

「なるほど、彼らにとって平民は反乱予備軍ですか。そう考えているのなら貴族に対して弱い、いや甘いのも分かります。……なるほど、そうか、そういう事か!」

「ようやく、分かったか」
「ええ、エーリッヒは門閥貴族を潰し平民の権利を拡大しようとしている。つまり内務省にとってはこれまでやってきたことの否定でしかない」

「そうだ、改革が進むにつれ平民の発言力が強まれば内務省に対する批判の声は大きくなるだろう。そして存在意義さえもが問われる事になる。彼らは危機感を抱いているのだ」

「だとすれば彼らは必ず動きますね。エーリッヒ、いや司令長官の元では先が見えない。ならばローエングラム伯に味方し、恩を売る事でこれから先を生き延びようとする……。私は未だ甘い、肝心な事を見落としていました」

どうやら元気を取り戻したようだ。これで自信をもって捜査に取り組めるだろう、世話の焼けるやつだ。
「キスリング准将、相手を甘く見るな。憲兵隊は軍内部の組織だが、彼らは帝国全土に組織を持つ、裾野の広い組織なのだ。意外な所に協力者がいるだろう。気をつけるんだ」



帝国暦 487年 11月13日   オーディン 新無憂宮 シュタインホフ元帥


「遅くなったか」
「いえ、我等も今揃ったところです」
「そうか、では始めるとするか」

遅れてきたリヒテンラーデ侯がエーレンベルク元帥と話している。これから行なわれるのは帝国軍三長官会議なのだが、何時の頃からか会議の後リヒテンラーデ侯に報告するようになった。

その後、どうせならと会議にも参加するようになり、それに伴い会議の場所も軍務省から新無憂宮に変わっている。此処は新無憂宮の南苑の端にある一室、リヒテンラーデ侯が何度か密談に使っている部屋だ。お気に入りの部屋らしい。

「昨日、フェルナー准将、ガームリヒ中佐から連絡が有りました。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯の領地替えの準備は順調に進んでいるそうです」

フェルナー准将、ガームリヒ中佐はオーディンに残って我々、そしてそれぞれの夫人、令嬢達との連絡役になっている。表向きは我々と対立しているように見せ裏で通じる。周囲の貴族達の目を欺くのは容易な事ではないだろう。

「順調か……。司令長官、準備が終わるのは何時頃になると言っているのかな?」
「今月末には発表できるだろうとの事です」

あと二週間は有る。ヴァレン
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