十五話:遊園地
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、理不尽な扱いには慣れてるけど、お前程身勝手なのは初めてなんですけど」
「ぐだ男君、必ず帰ってきてください…!」
刺青だらけの青年の姿をしたアンリ・マユに向かいぐだ男は駆け出していく。
そう、いつの日にかぐだ男の勇気が世界を救うと信じて……。
そんなダイジェスト気味なアトラクション“ペルシャウォーズ”も終わり昼時になる。
何だかんだで楽しんだ二人のお腹もちょうど空いてきたところである。
『お腹空いたし、何か食べない?』
「あ、それでしたら……その」
おずおずと恥ずかしそうにバックの中からバスケットを取り出すジャンヌ。
「サンドイッチを作ってきたのですが……よろしければ食べてくれませんか?」
『本当!? ありがとう、ジャンヌ!』
「た、大したものではないのでそんなに期待しないでください」
自信なさ気に差し出すジャンヌにぐだ男は飛び上がらんばかりに喜んでみせる。
そのあまりのはしゃぎように顔を赤らめながらも少し嬉しそうに笑うジャンヌ。
二人は休憩場所の空いている席を陣取り、手作りサンドイッチを開帳する。
『美味しそう。ジャンヌって料理上手なの?』
「ほ、褒められるほどのものではないと思いますが、家では料理もしますので、一応」
手放しでの称賛に恥ずかしがりながらはにかむジャンヌ。
ついで、やはり出来が気になるのか、ぐだ男に食べるように視線で促す。
『それじゃあ、いただきます』
彩緑の具材にそれを生かす白いパン。
取り敢えず、ハムとレタスとトマトが入った物を取り一口口にする。
緊張した面持ちでジャンヌが自分を見つめているのを感じながらゆっくりと咀嚼する。
『……うん。美味しいよ!』
「そうですか。お口に合ったようで何よりです」
『ジャンヌは良いお嫁さんになれるよ』
「も、もう……恥ずかしいのでやめてください」
ぐだ男の言葉に首筋が熱くなるのを隠すようにジャンヌは自分もサンドイッチに齧りつく。
それでもなお体の火照りは消えずにどうしようもなく目の前の彼のことを意識してしまうのだった。
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