十五話:遊園地
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あった。
ちょうど開いていたので二人して意気揚々と乗り込む。
「回すのはぐだ男君にお願いします」
『任せて、回すのは得意だから』
「あの…死んだ目になっていますが大丈夫ですか?」
ハンドルを手に取り何かを思い出したのか死んだ目になるぐだ男。
しかし、気にしても仕方がないので回し始める。
「あ、回り始めました」
『…………』
「……ぐだ男君、少し速くありませんか?」
初めは楽しそうな顔をしていたジャンヌだったが段々と速くなる速度に冷や汗を流し始める。
しかし、回しているぐだ男の方は何も語らずに黙々と回すのみである。
「ぐだ男君、大丈夫ですか?」
『無心で回せ、回転数こそが全てだ!』
「何があったんですか!?」
どこまでも透き通った、否、伽藍洞の瞳には何も映らない。
ただ、ひたすらに回し続ける男の姿がそこにはあった。
『外敵など必要はない。想像するのは常に星5の自分だ』
「正気に戻ってください、ぐだ男君!」
『まわすのぉおおおっ!!』
「すみません! これもぐだ男君のためです、えい!」
謎の狂化状態に陥ったぐだ男をどこからか取り出した旗で殴って鎮静化させるジャンヌ。
打撲の衝撃でぐだ男は正気を取り戻すが精神的ダメージを受けたように項垂れる。
『夢を見ていたんだ……何度回してもジャンヌが来てくれない夢を』
「ゆ、夢ですか?」
『うん。魔法のカードを使ったのに出てくるのは黒鍵…黒鍵…黒鍵! うわぁあああ!』
「もう一度すみません!」
今度は加減などせずに記憶を消し飛ばすつもりで叩くジャンヌ。
酷いように見えるかもしれないがこれ以上幻覚を見せるよりはマシだ。
流石のぐだ男も堪えたように肩で息をしながら顔を上げる。
『ありがとう。これ以上は爆死するところだった』
「ぐだ男君……既にそれは俗に言う爆死というものです」
どこまでも慈悲深い眼差しでぐだ男を諭すジャンヌ。
ぐだ男はその優しさにより爆死という辛い思い出から立ち直る。
しかし、彼の心に与えたダメージは計り知れない。
そもそも、何故ぐだ男がこのような暴走に至ったのかと言えばだ。
「どうやら、幻覚が相当に答えたようですね、いい気味です。それに今の暴走でジャンヌの好感度も落ちるはず。流石はプレラーティ。素晴らしいアイディア」
ジルの嫌がらせが原因である。
一部の人間にとっては非常に心を抉る攻撃という非常に悪辣な趣味。
これでジャンヌはぐだ男に失望するはず、そう確信していた。しかしながら。
「大丈夫ですよ。よく分かりませんが私はあなたの傍に居ますから」
『ジャンヌ……』
「さあ、まだまだ時間はあるので一緒に楽しみましょう」
『うん。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ