シュロム
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ない。まずはその隙をどうやって作るかだ。
天野はいきなり立ち上がった。周囲の注目が集まる。
見たところ武装品や武装の仕方、立ち振る舞い、ましてや顔立ちは日本のそれとは違う。ボスと見られる人物以外外人だろう。だとすると日本語がわからない可能性が高い。
「昨日は人の身今日は我が身!」
天野の叫び声が響く。テロリストといえども人間。突然の出来事にはなかなか対処できないものだ。彼らが驚いている隙に天野は出入り口に向かって走り出し、あっという間にファミリーレストランから抜け出した。
建物から出た天野は後ろを振り返った。
そこにはただならぬ雰囲気を漂わせるファミリーレストランがあった。今まで自分がいたとは思えなかった。
間も無く天野は警察隊に保護された。途端に恐怖が湧いてきて、死にたく無い。生きたいという感情、願望が溢れ出した。
「そのあと、ご両親を含め人質は皆撃ち殺されました。そしてテロリストたちは自爆。しかし不思議なことに、二人分の死体が見つかっていないのです。まあそれはいいでしょう。あの状況から逃げたとは考えにくい。それから私たちは自らの命に執着するようになったのです」
「なんか、違う気がする」
歩嶺が呟いた。
「限られた命だから、大切なんじゃ無いのか?死なない命だからこそ、僕はそんなものいらない」
「そうかもしれませんね、人によっては。あなた方と私たちとでは感性というものが違ったんですよ。にしてもテゥエルにはよく働いてもらいました。私一人が最強になるために何人殺させたか」
「最っ低」
「ほんとだよな」
瑠璃と空奈が口を揃える。
「なんとでも言ってください。しかし予想外でした。あなた方がこんなにも団結されるなんて」
「私が願ったからよ」
和羽のカゴメが口を開く。
「私の能力は超想像力。つまりは願うこと。少しばかり実現性に欠けるけどね。この子たちが集まり、団結できるよう願ったの。ついでに天野さん、あなたに勝てるようにも願ってるわ。この願いが叶えば、あなたは終わりよ」
「ハハハ。それはいい。ただしあなたの能力には代償を払う制度があるんじゃないですか?」
「そのくらい、慣れたことよ」
「そうですか」
「おい天野」
突然に暗く重たい声がした。見るとテゥエルがボロボロになりながらこちらに向かって歩いてきている。
「…やぁテゥエル。生きていたんですね」
「俺を、俺を利用ってどういうことだ?俺を騙してたのか?」
「そうですとも。あなたはいずれ私の手によって殺させる運命だったのですよ。あなたはただの道具です」
「ふざけるな!」
テゥエルは天野の目の前まで到達すると、ナイフを振り上げた。
「死ね」
辺りに血が飛び散った。
皆あまりの展開に言葉が出ない。
「仕方のないことよ。自分だけが最強になろうとした。神はそれを許さ
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