アブソーブディシジョン
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の姿もある。間違いない」
「さっきから雨に濡れて寒いけど、ずっと閉じ込められてたあの人達は私よりもっと寒いんだよね。早く助けてあげないと……!」
なのはが入り口の鉄格子を越えて中に踏み入り、ジャンゴも急いで向かう。ただ、鉄格子が開きっ放しだった事にジャンゴは既視感のようなものを感じたが、その答えはすぐに判明した。
TRAP!
『敵を倒せ!』
「あっ! ごめん!」
「気にしないで、こんなのいつもの事だし。ちゃっちゃと倒そう」
「え、いつもの事なの? たった今引っかかった私が言うのも何だけど、もう少しトラップに気を付けた方がいいんじゃ……?」
「別に全部不注意で引っかかったんじゃなくて、カギとか手に入れるためにわざとの時もあったよ。ニュアンスで表すなら日本のことわざで“虎穴に入らずんば虎子を得ず”って感じ? それにほとんど一本道上の部屋に仕掛けられてるから、大抵回避のしようがないし……」
本人としてはフォローのつもりだったジャンゴの苦労話を聞いて、なのはは罪悪感が余計増した。とりあえず彼女は贖罪の意味も込めてジャンゴに苦労をかけず、このトラップを打破しようと思って身構えるのだが……、
「そもそも敵って何なの?」
「いつもならソードとかアックスみたいに敵の名称が出てくるんだけど……」
二人は辺りを見回し、敵が何なのか見極めようとした。すると地面に付いた黒い斑点のようなものが視界に入る。警戒しながらじ〜っと見つめるとそれは……、
フナムシだった。
「なんだ、フナムシか」
「地球のよりは大きいけど、これぐらいそこまで大した脅威じゃ―――」
安堵した次の瞬間、岩の影や草むらの中などから地面を埋め尽くすほどのフナムシの大群が飛び出てきた。生理的嫌悪感を催す光景に二人とも一瞬で鳥肌が立ち、更には見過ごせない看板まで目に入った。
『注意、このフナムシは“人間の肉”も好物です。Byストーカー男爵』
「に、人間の肉ぅ!?」
「あのマッドサイエンティスト! なんて最悪かつ厄介なトラップを残してるんだ!」
「このフナムシもあの時の暗殺ムカデと同じ生物兵器なの!?」
「そんな悠長な事を言ってる場合じゃないよ! うわっ! 一斉にこっちに来たぁ!!」
「「ギャァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」」
どこかの野球選手育成ゲームに出てきそうなフナムシの大群が迫ってくるおぞましい光景に、冷静さが吹き飛んだ二人はただただ悲鳴を上げるしかなかった。
―――しばらくお待ちください。
「ぜぇ……ぜぇ……! い、今までの中で、一番気持ち悪い戦いだったの……」
「はぁ……はぁ……! 世紀末世界でも色んな戦いを潜り抜けて来たけど、もう二度と
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