第一部:ゲート 開けり
我らレジスタンス組織「自由の民」
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しかし、当然だがその分身元がバレるリスクが高まる。古今東西いつの時代も変わらないことだが、
捕まったスパイの末路は悲惨なものだ。
拷問に次ぐ拷問を体で十分に味わい、
最後は処刑されて祖国にも無関係を装われて報われない等、
碌な目に遭わないのがスパイの末路だ。
彼女たちを失う事は、組織にとっては大きな損失となるだろう。特に片割れはヴォーリアバニーの中でも最も優れた戦士たちの集まりである親衛隊出身なので、
個人的にも何とか彼女だけでも危険から遠ざけたいと思っていた。彼女はスパイとして悲惨な死を遂げるのではなく、
戦場で戦士として戦って死ぬべきであると。その為に彼女だけでも戻そうかとつい思ってしまった。
そんなお気に入りの部下を気に掛ける心が、先ほど述べた2つの選択肢の内、後者の撤退させるという考えを生み出したのだ。この考えは他にもこのような利点がある。それは自由の民に関する情報が、
自衛隊や現地の帝国民へ漏れることを防げる事だ。カルデアからの指示で「自分たちの情報を知られることはまだ不味いという事で、なるべく情報が漏れないように注意せよ」と、
つい昨日そう通達されていた。
それを踏まえると、
2人の撤退は別に何のお咎めもないので実に好都合だ。しかし、それを行えば自衛隊に関する情報入手手段が一つ減ることに繋がる。一体どの選択が我々にとって利益があるのか・・・・・・彼女は無言でしばらく悩み続けた。電話の向こうも察知したのか無言のままだ。しばらく両者共に無言の状態が10分ほど続いた後、
彼女は覚悟を決めて決断を下した。
「彼女たちにこう伝えろ。このまま職務を全うし、自衛隊の情報を収集せよと」
「はっ、了解しました。そう伝えておきます。では、失礼します」
ガチャ
プー プー
このままスパイ活動を継続させることを彼女は選択した。
私情に押し流されては族長など組織のリーダーを務めることは出来ない。彼女たちに更なる負担を掛けてまでも自衛隊の情報収集の方が大事だと判断したのだ。
こうして自由の民は一先ず自衛隊に関する対応は、情報収集任務のみにしてなるべく接触しないように行動する事が後の会議でテューレが提案し、賛成多数で可決されたのでそれに基づいて行動することが今後の活動方針に定められた。
後にカルデアの連中が自衛隊特地派遣部隊との接触を開始し、彼らの命令を受けて一行が本拠地へ招き入れるまで見事情報を漏らさずに隠し通し、彼女らの存在をカルデア経由で知った日本政府と自衛隊の双方は、地球世界と同じ銃火器で武装して、ムジャヒディンやベトコン並みにゲリラ戦に優れた第三組織の登場に驚愕し、交流や接触がますます慎重になるのは別の話である。
「同時刻:エル
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