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ゲート 代行者かく戦えり
第一部:ゲート 開けり
我らレジスタンス組織「自由の民」
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全ての生物を殺すと公言しているので、
近い将来、必ずや本格的な戦闘が起きることを考慮しておく必要があります」


書類を見つめながら会話する2人の視線の先には、帝国貴族または裕福な商人の奴隷として働かされていたのだろう亜人の奴隷の死体などが映った写真が存在し、
他にも亜人の生息地を哨戒していた部隊が黒王軍の襲撃部隊と接触し、有無を言わさずに向こうから攻撃してきたので反撃し、負傷者をかなり出したが相手を全滅できたという報告書がここ数日間で次々と挙がっている。


どうやら先日の宣言通り、黒王軍は容赦なく敵味方と区別せずに生きとし生けるものを敵と見做しているようだ。このままだと、いづれ奴らとも戦う事になるのは必然だろう。となると、自由の民は「帝国」と「黒王軍」この2つを敵に回すこととなる。つまり部隊を2つに分裂する必要があるという愚行を犯す必要があるのだ。防ぎたくても黒王軍は交渉の余地が無い事が宣言で分かっている事だし、
「帝国」は色々と怨みが積もった相手なので簡単には交渉などできない。最早避けようのない選択であると上層部は覚悟を決めていた。





「まぁ、これ以上は全体会議で決めることだ。なので今日はこれにて終了としようか。問題もどうやらないみたいで安心したぞ。では、私はこれから帰るから後は頼んだぞ」


「はっ、どうかお気を付けてテューレ様」


これ以上話し合うようなことや聞くべき報告などは無いので、一先ず予定通りここでお開きにしてテューレは帰ることにした。基地司令の彼が見送りの言葉を述べて見送る中、彼女は外で控えていた部下を引き連れて司令官の閣僚たちに見送られながら基地に勤める兵士たちの目に触れないように行動し、送迎用の輸送ヘリに乗り込んで本拠地へと帰った。


何故、彼女が人目にあまり触れないようこそこそと動いていたのかというと、
今回の訪問が一応お忍びなのと、部下たちがきちんと平常時からまじめに仕事やっているか確かめようという思惑があったからだ。その結果、何とか一般兵たちに今回の訪問はバレずに済み、そして彼女も兵士たちが休み時間でだらけ過ぎなところがあるがきちんと職務に励んでいるのを確かめられたので、概ね満足のいく結果で終わった。



輸送ヘリ(旧ソ連製Mi-8)が本拠地に設けられた地上5階建て、地下8階建ての軍事拠点「マザーベース」に到着。降り立った彼女は他の族長たちに今回の訪問で得た情報を報告して書類を提出し、自室に戻り暑苦しい制服を脱いで下着姿となって一休みしていると、ベッドの枕元に置いてあった電話の受話器がタイミング良く鳴り出した。それを取って応答しながら耳に寄せると、
聞こえてきたのは諜報担当官の1人であるヴォーリアバニーの声であった。



プルルルルルル


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