第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#16
DARK BLUE MOON[ 〜Scar Faith〜
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やっとのコトで辿り着いた美女の寝室。
内装は瀟洒なメゾネットタイプで一人で泊まるには充分以上に広い。
ハロゲンランプの優しく暖かな光に包まれた部屋の中脇に設置された
豪奢なダブルベッドの上にマージョリーを下ろし、
寝返りを打つと危険なのでグラスも外し脇のチェストに置いておく。
上 掛 けもかけようとしたが暑いのかマージョリーがすぐに突っぱねてしまうので
仕方なくそのままにした。まぁイオンミストを大量に放出する高性能のエアコンが
常時回っているので風邪を引く心配はないだろう。
これにて、花京院 典明のフレイムヘイズ付きの 『仕事』 はようやく終わり。
その手当代わりというわけではないが、喉が渇いたので冷蔵庫の中から
ミネラル・ウォーターを取りだし革張りのソファーに腰を下ろしてそれを飲む。
何より少し酔いを醒ましてからでないと、帰りの道すがら路上でブッ倒れるのは
今度は自分かも知れない。
「よぉ〜、御苦労だったなカキョーイン」
手前の、木目の美しいウォールナットのテーブルの上で、
人目を気にする必要がなくなったからかマルコシアスが革表紙をバタバタ鳴らしながら
磊落な声をかける。
「えぇ……」
立場上、美女の保護者のような者だと認識しているこの異次元世界の魔獣を、
だったら少しは手助けしてくれても良いだろうにと花京院は 訝 るように見る。
「でもよぉ〜、正直 “役得” だったろぉ〜?
同じ男として、オレも気を遣ってやったンだぜェ〜」
「ハァ?」
本気で解らないといった表情で、花京院はペットボトルを口に運ぶ手を止める。
「我が麗しの酒 盃の魅惑の姿体が
圧迫祭りの密着御輿でよぉ〜。ほれほれ惚けンなよこのドスケベヤロー、
ヒャーーーーッハッハッハッハッハ!!!!!!」
「……」
マージョリーのように本気で(しかもスタンドで)殴ってやろうかと想ったが、
花京院は胸三寸に収め話題を変える。
「ところで、 “ルルゥ” と言いましたか。その少女について、少し訊いても良いですか?
ミス・マージョリーとは、一体どのような関係だったのです?」
本人のいない所で彼女の過去を詮索するのは無神経だと承知していたが、
答えは返ってこない事を予想して花京院は訊いた。
正直、ただ単純に 『うるさい』 のだ、この放埒な紅世の王は。
普段の時でもかなり鼓膜が痛いのに、消耗したこの状態で余り聴きたい声ではない。
っていうか、それ以前にあんまり騒ぐとマージョリーが起きる。
「……視て、みるか?」
先刻の軽薄な物言いとは一転、重くナニカを含んだような口調でマルコシアスは告げる。
「え?」
意外な返答に花京院が応じる
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