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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#16
DARK BLUE MOON[ 〜Scar Faith〜
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れた手つきでメニューを開き、
ウェイターを呼びつけあれこれと注文を始めている。
 夜とは言えソレが深まるまでにはまだ時間がある為、
店内に人影は少なくソファーには誰も座っていない。
 食事の為に入った筈の店ではあるが、本来 『そうゆう店』 ではなく
純粋に酒を愉しむ場なのであろう。
 最も未成年である自分の見解なのでその正当性は定かではないが。
「……キ、ノリアキ」
 他愛もない思考に耽っていた自分の脇で名を呼ぶ声がし、
顔を向けた先で美女が開いた革表紙のメニューを差し出していた。
「アンタの注文は? 取りあえず飲み物だけでも先に頼んでおきなさい」
「え、えぇ、そうですね」
 そう応じてメニューに視線を移すが、一体何を注文すれば良いモノやら。
記載された文字を読めないわけではないが、
当然こんな店には今まで入ったコトがないので
眼に入るスベテは意味不明な言葉の羅列だ。
 なので花京院は丁寧な手つきと物腰でオーダーを取っている若いウェイターに、
アルコールの入ってない飲み物はあるかと流暢な広東語で聞き、
柔らかな笑顔でメニューを差す彼に従いよく解らない名前のカクテルを注文した。
 やがて初来店だというのにボトルを入れたマージョリーの前に
大量の氷で充たされたアイスペールとグラスが置かれ、
その他新鮮な魚介類の冷製やチーズ、生ハム、生肉の盛り合わせ、
パフェの器に盛られたサラダや個性的な彩りのパスタ等が次々に置かれていく。
 多様で華やかではあるが、どうみても全て酒 肴(しゅこう)であり健全な夜の食事とは言い難い。
 しかし折角の美女のお招きであるし、何より熟練の 『スタンド使い』 である自分は
最大一週間は飲まず食わずで活動出来るので、花京院は何も言わず表情にも出さなかった。
 そして目の前に運ばれた、微かにミントの香りのする液体で充たされた
フルート型のグラスを手に取り静かに美女へと向き直る。
「……」
 マージョリーもソレに倣い、何故かムッとしたように頬を紅潮させるという
器用な表情でアイリッシュ・ウイスキーの注がれたロックグラスをこちらに向ける。
「では、何に乾杯するとしましょうか?」
 あくまで礼儀作法に習い、店内に降り注ぐ淑やかな照明の許
神秘的に煌めく瞳で己を見つめる美男子に
「な、なんでも良いわよ。テキトーにアンタが決めて」
美女はぶっきらぼうに返す。
「ン……そうですね。では」
 花京院は一度瞳を閉じた後グラスを掲げ、
「今日という 『運命』 に」
澄んだ声と共に美女の差し出すグラスと合わせる。
 静謐な音が響き渡り、その場は時が止まったかのように、
極めて森厳な雰囲気で充たされた。
 まるで、古き名画のワンシーンで在るかのように。
 少し雰囲気に酔ったのか
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