十四話:海水浴2
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』
「それだわ! せっかくだし試してみましょうか。でも肝心の塩がありませんね」
どこかに塩でも落ちていないかとキョロキョロと辺りを見回すマリー。
当然、そんなもの都合よく落ちているわけもなく―――
「あったよ、塩!」
『よし、でかした!』
再び焼きそば作りに戻っていったエミヤの調味料セットから落ちたらしい塩をアストルフォが見つける。
「これを少しふりかけて食べると……本当に甘くなってるわ!」
「本当ですね。面白い現象です」
マリーはアストルフォから受け取り早速試した結果、驚きの声を上げる。
ジャンヌも物は試しと挑戦し驚きで顔をほころばせる。
「へー、面白そう。ボクにも貸して!」
「あ、そんなに勢いよくかけたら」
「えい!」
ジャンヌから塩をを受け取り、勢いよく振りかける。
スイカに塩をかければ甘く感じられるのは程よくかけるからである。
つまり、今のアストルフォのように大量に振りかけてしまうと。
「しょっぱーい!」
『スイカが白くなるまでかけたら当然』
普通にしょっぱく感じられるのである。
失敗したと顔をしかめるアストルフォを見ながらぐだ男は自身のスイカに塩を振りかける。
そして、そのままアストルフォの口の前まで持っていく。
『はい、これなら大丈夫だよ』
「あーん……うん、うん! これだと甘いね!」
ぐだ男から差し出されたスイカに齧り付き表情を一変させるアストルフォ。
彼はコロコロと変わるアストルフォの表情に笑いながら自身もスイカを齧る。
先程、アストルフォが齧ったばかりのスイカを。
「あ、間接キスだね、これ」
「か、間接キスですか!? いけません! 不浄です、異性でそのような……同性でしたね、そういえば」
何食わぬ顔で間接キス発言をするアストルフォにジャンヌが食って掛かる。
しかしながら、アストルフォとぐだ男は同性だったことを思い出し押し黙る。
同性であれば特に問題はないのだから仕方がない。
『……気づかなかった』
「もう、恥ずかしがらないでよ。君が恥ずかしがると……ボ、ボクも恥ずかしくなっちゃうし」
今更ながらに間接キスに気づき顔を赤らめるぐだ男。
そんな彼に気にしていなかったアストルフォの方も意識してしまい頬を染めてもじもじとする。
二人の間に流れていけない甘い空気が流れ始める。
しばしの沈黙の後、ちらりと上目遣いを見せ、アストルフォが小さな口を開く。
「ねぇ……キス…してみる?」
尋ねるようでいて、乞うようなしっとりとした声がぐだ男の耳を包み込む。
思わず脳内に『アストルフォとキスをする』という選択肢が出る程にその言葉は危険であった。
「何言ってや
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