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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#15
DARK BLUE MOONZ 〜Heaven's Door〜
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付けるように凛々しい声でそう返す。 
「フフ、ちょっと変わってるけど、良い名前ね? 覚えておくわ。
お互い生きていたら、凄惨なる修羅の隘路(あいろ)でまた逢いましょう」
(逃げる気……!? イヤ、違う……!)
 深いルージュで彩られた美女の妖艶な口唇を覆い隠すように、
分厚い革表紙の神器 “グリモア” が逆さなった状態で空間に静止する。
そして、哀別のようにシャナへと告げられる、一人のフレイムヘイズの言葉。
「アンタの存在、認めたわ。 『だから全力で撃つ』 死ぬんじゃないわよ」
 そう言うと同時に、複雑に絡められた自在式印と共に、
天空へと抱え上げられる美女の両腕。
「“蒼 蓮 拾 参 式 戒 滅 焔 儀(ダーク・フェルメール・ブレイズ)”」
 次いで微塵の躊躇もなく宣告される、虐殺の流式名。
 闇蒼絶獄。魔狼の叫吼。
“蹂躙” の流式(ムーヴ)
冥 導 禍 顕 滅 碎 流(カラミティー・メイル・エキゾースト)!!!!!!』
流式者名−マージョリー・ドー
破壊力−A+++ スピード−B 射程距離−A(最大150メートル)
持続力−C 精密動作性−D 成長性−A




 そう叫んだマージョリーが両手を交差して結んだ印ごと自在式を
神器に叩き込むと同時に、真一文字に大きく開く “グリモア” の口。
 その戦慄、正に月に吼える魔狼に相剋。
 そして表面の刻印と内部の文字が蒼く染まった神器の内部から、
突如屋上全域を覆い尽くす程の、莫大な群青の禍流が狂ったように飛び出してきた。
 ソレが己に襲い掛かる遙か前から、
既に「覚悟」を決めていた少女の執った選択は、
両腕を大きく左右に開き渦巻く焔儀と真っ向から対峙する姿。
「莫迦なッ! 真正面から受け止める気か!?」
「防御すれば両腕が塞がる! 守りに入れば反応が遅れるッ!」
 意想外の、暴挙と呼んでも差し支えない少女の選択に、
さしものアラストールも声を張り上げる。
 確かに、相手が焔儀を撃つより前に間合いへ飛び込めば、当然その動きに対応される。
 だが真正面から受け止めるならば、その焔儀自体を煙幕にして奇襲攻撃を掛けられる。
 どんな自在法の巧者で在っても、
焔儀を繰り出した直後はその原理故に躰が硬直せざる負えず、
しかもソレはソノ威力が高ければ高いほど大きくなる。
 少女が狙うのは、その針の孔のような一瞬の隙。
 しかし、現代最強のフレイムヘイズが全力で撃ち放つ凄絶焔儀を、
満身創痍の無防備状態で受け止めるのは、無謀をも遙かに逸脱した狂 謀(きょうぼう)
 だが、その狂謀を決死の覚悟で敢行する少女の瞳は、
自暴自棄に陥って捨て身になる愚者のソレではない。
 喩え如何なる状況に於かれても、最後まで決して諦めないという
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