第5話
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」
ここは宿屋の一室。
同部屋に押し込まれた暢介と久遠が向かい合って座っていた。
「そんなにじっくり見れる状況じゃなかったけど……かなりのものだったよ」
「そうでしたか」
「うん。一人でかなりの賊を倒してたし、何度か助けられたよ」
「ふむ……」
そう呟き、久遠が考え込む。
ちなみに、ソフト帽の女性は2人の部屋の隣に泊まっている。
「ねぇ暢介。あの子を誘わない?」
「誘う?」
「うん。これから先、仲間は1人でも多く欲しいしあの子は優秀だったら手に入れるべきだよ」
「でもさ……あの子を勧誘したとして、あの子に払うお金とか無いよ」
「……元々、部下である僕にも全然払ってないけどね」
そう言ってジト目で暢介を見る久遠。
そんな久遠からそ〜っと視線を外す暢介。
「兎に角、あの子に会おうよ。大体、名前だって聞いてないしさ!」
席から立ち、暢介の手を引き摺りながら久遠は部屋を出る。
「すいません。ちょっといいですか」
ソフト帽の女性の部屋の前で声をかける久遠。
その後ろで暢介は引っ張られた右手を撫でていた。
「久遠のやつ、力いっぱい引っ張りやがった……」
そう聞こえない様に呟く暢介。
「……はい」
室内から女性の声が聞こえた。
「あのぉ……ちょっとお話をしたいんですが、いいですか?」
そう尋ねる久遠に室内から。
「へ!? ちょ、ちょっと待ってて下さい」
少し慌てた感じで言う女性。
その後、室内から慌ただしい音が聞こえ時々。
『うわぁ!』とか『痛っ!』という声が聞こえてきた。
「何してんだろ? 暢介、ちょっと覗いてみてよ」
「やだよ。女性の部屋を覗くとかそんな趣味は……」
「無くてもいいから、もしかしたら怪我してるかもしれないし」
「……」
ため息をつき、暢介はドアをノックする。
「ちょっと入るよ」
「へ!? ちょ、ちょっとま……」
中の女性の声を聞かずにドアを開け、室内に入る暢介。
その後ろに久遠が続く。
「……」
「……あっ……」
「ん? どうしたの暢介?」
室内に入った暢介の目に入ってきたのは、ただいま絶賛着替え中の女性の姿。
ソフト帽は脱いでおり寝台の上に置かれていた。
気まずい沈黙が続く中、女性の顔が一気に赤くなった瞬間。
女性は近くにあった置物を手に取り、暢介に向けて投げつけてきた。
「うわ! ご、ごめん。久遠、下がってくれ。一旦外に出よう」
「何で? 僕からは何も見えないんだけど」
「着替
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