暁 〜小説投稿サイト〜
STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#14
DARK BLUE MOONY 〜Bake The Dust〜
[10/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
少女の脳髄に、
痺れるような激痛が直撃した。
(!!)
 一瞬にしてその顔が蒼白となり、膝が折れて地面につきそうになるのを少女は
なんとか押し止める。
(……折……れた……!?)
 蒼褪めた表情で着撃箇所を手で探る。
 制服越しの指先から伝わる感触では正確に解らないが、
少なくとも罅は入っているようだ。
 人体の負傷はどんな軽微なものでも常にその全体へと影響を及ぼすモノではあるが、
シャナのような己の身体能力をフルに活用する『刀剣遣い』にとって、
コレは著しい不利益をもたらす。
 特に上体を捻る動作を要とする廻転、旋廻系の剣技はコレで完全に封じられた。
『今までの』 少女で在るなら、負傷に伴う苦痛はソレを上回る闘争心、
或いは使命感に拠って脳内モルヒネのように打ち消してきたが、
『今の』 少女にはソレがない。
 故に、痛みは痛みとしてしか躰に認識されない。
 その創痍の彼女の前に、未だ無傷のトーガ11体が立ちはだかる。
 最奥にいるマージョリーの姿が、今はやけに遠く感じられた。
(とても今の状態じゃ、剣技は遣えない。逆に贄殿遮那に引っ張られる。
なら……!)
 刀身を足下のコンクリートに突き立て代わりに右手を顔前に構える。
焔儀(コレ)しかない……ッ!)
 開いた掌中に紅蓮の炎が激しく渦巻いた。
「アラ? もう終わり? 最近欲求不満だったから、
もっと格闘を愉しみたかったんだけど」
 追いつめられた少女とは裏腹に、美女は世間話でもするように軽く言う。
 その美女を無視し、シャナは己が焔儀の執行に移る。
「はあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 喊声を挙げると同時に、右脇腹がズキンッと悲鳴をあげるが歯を軋らせて
ソレを堪え、両脇に広げた手にそれぞれ属性の違う炎を瞬時に生み出す。
炎 劾 華 葬 楓 絶 架(レイジング・クロス・ヴォーテックス)
 今ある少女の焔儀の中では最大最強の威力を誇るモノだが、
ソレがどこまで通用するかは解らない。
 相手は明らかに焔儀の腕では自分の上をいく者、
トーガを二体か三体までなら片づけられるだろうが、全ては無理だ。
 しかも途中で吸収される可能性も在る。
(おまえなら……こんなとき……どうする?)
 当たり前のように口にしていた心中の言葉に、少女は自分自身でハッとなる。
 頼らないと決めた筈なのに、一人で出来ると今朝言ったばかりなのに。
 それなのに、気がつくと、いつも……
 その時、全く予期しなかった音響が少女の心臓を撃った。






「……」
 耳元で鳴る無機質なコール音。
 夕暮れ時なので街は人波でごった返しており走り辛い事この上ない。
 進行方向を遮る人々の脇を抜い、時に肩をブチ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ